フィードバックとは? 意味と目的と実施する際のポイントと注意点

面談する男性のビジネスパーソン

フィードバックとは、主に、業務における行動や成果に対する評価を伝え、より良い結果へ促すための行いを意味します。英語では「feedback」と表記され、日本語だと「帰還」という意味を持ちます。

フィードバックは、もともとIT・工学の分野で使われていた用語です。出力結果を入力側へと戻し、出力値が目標値に一致するよう調整・修正を行うことを指します。やがてこの言葉がビジネスシーンにも浸透し、人材育成などを目的として多くの企業で活用されるようになりました。

フィードバックとはどのようなものなのか、概要から実施する際のポイント、注意点までご紹介します。

フィードバックの意味

前述のように、フィードバックは行動や成果物に対する評価を、その行動した人や企業に対して伝え返すことを指します。

フィードは英語だと「Feed」と表記され、食べ物や栄養を与えるなどの意味があります。

バックは英語で「Back」と表記され、返すという意味です。

つまり、フィードバックは評価されるものにとって今後生かせたり、糧にできたりするような内容を意識する必要があるのです。

フィードバックが活用されるシーン

フィードバックは主に、上司が部下を評価する際などに行われます。

その他にも、消費者が企業に対して商品・サービスの感想を伝えるシーンなども含まれます。

フィードバックとフィードフォワードの違い

フィードバックと似た言葉にフィードフォワードというものがあります。

フィードフォワードは未来で達成したい目標に対して、示唆やアイデアを与えるものをいいます。

フィードバックは過去の行動や実績などを評価・指摘するのに対し、フィードフォワードは未来に向けて計画やロジックを組み立てることが特徴です。過去と未来のどちらを起点とするかという点に大きな違いが見られます。

フィードバックの目的

なぜ多くの企業でフィードバックが行われているのか、その理由や目的については以下の4つに集約されます。

  1. 人材育成
  2. 目標達成
  3. モチベーションアップ
  4. パフォーマンスの向上

それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。

1. 人材育成

フィードバックは、人材育成に効果的な手法として活用されています。

上司が部下に対してこまめにフィードバックを行うことで、コミュニケーションの機会を増やし、関係性を深めることができると同時に、部下の課題を把握しやすくなるというメリットがあります。

そして、上司がその課題を解決するためのアドバイスを行うことで、行動の改善を促すことができます。

2. 目標達成

フィードバックは、組織やチームが掲げる目標を達成するためにも活用されます。

行動が成果につながっているか、個人やチームに成長は見られるか、フィードバックによって振り返ることが可能となります。定期的なフィードバックによって効率良く目標達成へと近づけるのです。

3. モチベーションアップ

フィードバックでは、悪かった部分に対する改善点だけではなく、良かった点についても伝えていきます。

改善点と良かった点を第三者から伝えることで、評価を受けた側は冷静に自分を振り返ることができます。その結果、業務に対してより自信を持って取り組めるようになるのです。

また、フィードバックによって上司などが自分の行動やがんばりをきちんと見てくれていると実感できます。これにより、目標に向かってがんばろうというモチベーションアップにつなげられることでしょう。

4. パフォーマンスの向上

フィードバックを何度も行うことで、評価される側はどのようにしたらうまく仕事を進めることができるのか、効率についての意識が高まっていきます。効果的なフィードバックを受けることで考える力が身につき、自主的に動ける人材に育っていくことが期待できるのです。

また、客観的な視点による話を聞くことで、自分の行動がチームや企業にどのような影響を与えるのか理解できるようになります。必要な行動と避けるべき行動をきちんと判断できるようになるなど、パフォーマンスの向上が見込めます。

フィードバックを実施する際のポイント

フィードバックを効果的に行うためにはコツがあります。どのようなことを意識すれば良いのか、以下の3つのポイントで見ていきたいと思います。

  1. 具体的に伝える
  2. リアルタイムを意識する
  3. 伝え方やシチュエーションに配慮する

1. 具体的に伝える

フィードバックの内容があいまいだと、相手にうまく伝わらない可能性があります。抽象的ではなくできる限り具体性を持たせ、相手がスムーズに理解できる内容を意識しましょう。

2. リアルタイムを意識する

人は時間が経つと、自分がしたことを忘れてしまうこともあります。そのため、フィードバックはなるべくリアルタイムで行うことが重要です。行動についての指摘はなるべく日が浅いうちに行いましょう。

3. 伝え方やシチュエーションに配慮する

フィードバックは言い方によっては相手を傷つけてしまうおそれがあります。指摘する際は相手にストレスを与えないよう、なるべく言葉づかいや表情に気をつけることが重要です。高圧的な態度や冷たい言い方にならないよう意識しましょう。

また、他の人がいる場所でフィードバックを行うと、相手に精神的な負荷がかかり、場合によってはパワーハラスメントだと判断されるおそれもあります。フィードバックはなるべく1対1で会話でき、リラックスしやすい場所を選んで行いましょう。

フィードバックにおける注意点

最後に、フィードバックを行う際の注意点をご紹介します。

他の社員と比べない

他の社員を引き合いに出し、比較することは避けるようにしましょう。

他の人と比較して足りない部分を指摘しても、評価される側は有効な気づきを得られません。それだけではなく、ストレスを感じたりモチベーションが低下したりするおそれがあるため注意しましょう。

人格を否定しない

フィードバックは行動や成果への評価を行うものであり、人格を否定するものではありません。相手の性格に口を出したり、批判したりすることは避けましょう。

また、能力が不足しているなどの指摘も行わないことが基本です。人格や能力の否定は信頼関係を損なう原因になり得るため、気をつけましょう。場合によってはパワーハラスメントとして処分をつながることもあります。