新社会人のためのパワハラ、セクハラ対処法 - 新卒入社時の注意点

新入社員

新社会人にとって、新卒で入社した初日はとても緊張するものです。周りが年上ばかりの未知のコミュニティに途中から参加するのですから当然です。

今後共に過ごす人たちはどんな人たちなのか、どんなルールで動いているのか、何をしたら誉められ、何をしたら怒られるのか、手探りのスタートです。

しかし、会社には一定のルールがあり、人間の組織には一定の特性があります。事前に心構えを整え、準備をすることが可能です。今回は、新社会人が入社時に気をつけるべきポイントについて、まとめていきたいと思います。

新卒社員は被害に会いやすい存在

新卒社員は、社内において最も弱い存在です。そしてそれは、様々な悪意の被害者になりやすいことを意味します。

普段は理性的な人たちであっても、会社という閉鎖空間で、階級社会を構築していると、行って良いことと悪いことの線引きがたびたびあいまいになり、その矛先は避ける手段をまだ覚えていない新卒社員に向きがちです。

抵抗しない、できない相手を選んで攻撃してくる大人は、想像以上に多く存在しています。

どのような被害に会いやすいのかを事前に把握し、被害に会わないための準備をしておきましょう。

新卒社員へのパワーハラスメント

人間には支配欲があり、相手よりも自分が上位であると示すことに快感を覚える傾向にあります。全社員にとって、明らかに弱い存在である新卒社員は、その欲求を解消する絶好のターゲットです。

仕事のできる先輩社員は、そのような欲求を日頃の出世競争の中で勝ち抜くことで、健全に解消しています。しかし、職場で評価されず、同僚に劣等感を抱いている先輩社員たちは、その欲求を新卒社員にあらゆる形でぶつけてきます。

威圧的な教育

初めは何もできなくて当然です。自分で何を勉強すればいいのかもわからず、教わることしかできません。

それにも関わらず、威圧的に教育をしてくる先輩がいます。わからないから質問をすれば自分で考えろと言い、自分で考えて進めればなぜ質問しないのかと言い、何かにつけて否定をしてきます。

この行為に特に教育的な意味があるわけではなく、教育の名を借りて自分が優位であると示す行為であるマウンティングをしているだけです。

このパワハラのやっかいなところは、行っている本人はそれを正しい教育だと信じているところです。社会の厳しさを教えてやっている、厳しく教育してやっていると自己の正当性を信じて行っています。彼らもまた、新卒の頃に先輩たちからそのように“教育”され、それが正しい教育だと誤解してしまっているのです。

飲み会参加の強要

就業後、毎日のように飲みに行きたがる人たちがいます。純粋にお酒が好きな人もいれば、家に居場所がなく帰りたくない人もいます。様々な人がいますが、彼らは皆一様に、一緒に行ってくれる人を探しています。

その点、上司や先輩からの誘いを断りにくい立場の新卒社員は格好の餌食です。社会勉強だとか、上司や先輩からの誘いには付き合うものだとかいう一方的な理屈で連れ回されます。

また、飲みの席では、マウンティング行為の一環として、一気飲みや一発芸の披露などを命令されることもあります。当然、上司や先輩に、プライベートな時間を搾取し、業務に関わりのない命令をする権利はありません。

からかい、過度ないじり

子どもじみたものでは、からかいや過度ないじりを繰り返し、抵抗されないことを確認し、支配欲を満たす人たちがいます。

パワハラ被害からの心と体の守り方

先輩社員からのパワハラ行為のほとんどが、支配欲を満たすためのマウンティング行為に当たります。

威圧的な教育や、からかい、過度ないじりに対しては、仕事ができない人たちの単なる憂さ晴らしだと認識し、自分は何も悪くないということを肝に銘じてください。自分が悪いのだと、自分を追い詰めないでください。逆に、そんなことをしないと自尊心を保てない先輩たちのことをかわいそうに思いましょう。

そして、そのような行為を受けていることを、仕事のできる良識的な先輩に相談しましょう。彼らは、新卒社員の相談に乗り、解決してあげたという成果、社内での評判を得るために、親身に相談に乗ってくれるでしょう。

なお、仕事のできる良識的な先輩がいない場合は、自分の心と体のために早々にその会社に見切りをつけることをお勧めします。最近では、早々に退職した際でも、第二新卒採用という道が用意されています。

飲み会参加の強要に対しては、飲みの誘いの断り方、断れなかった際の飲み会での立ち振る舞い方について、以下の記事でご紹介しています。ご参考にしていただければ幸いです。

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新卒社員へのセクシャルハラスメント

性欲は三大欲求の一つとして、人間のDNAに刻み込まれた逃れられない宿命です。社会人として表面上は取り繕ってはいても、隙あらば、人はその欲求を満たそうとしてしまいます。

抵抗しづらい、断りにくい、弱い立場の新卒社員がその標的となるのは当然のことです。そのことを踏まえて、被害を受けないように注意点を確認しておきましょう。

意図的なセクハラ

毎年4月の新卒社員の入社を心待ちにしている社員たちがいます。初めから、新卒社員を性的に搾取することを目的として待ち構えている男性先輩社員たちが確かに存在しています。彼らは、新卒社員に対する性的搾取の成功を、トロフィーのように仲間に自慢することもめずらしくありません。実際に、毎年多くの新卒社員が泣かされています。

彼らは初め、やさしい頼りになる先輩社員として近づいてきます。そして、徐々に口頭での性的な発言に踏み込み、体への接触と段階を進めてきます。

性的発言の時点で明確なセクハラです。通常であれば、即座に社内での処分の対象となります。しかし、社内で頼ることのできる相手が少ない新卒社員は、頼りになる先輩社員を失うわけにはいかず、告発や通報になかなか踏み出せません。熟練の先輩社員たちは慣れたもので、そこまで計算して初めから接触してきます。

なお、既婚者であろうと、そのような行いを続けている者がいるので、注意が必要です。

勘違いから始まるセクハラ

いつも笑顔で接してくれる、こちらに合わせてくれる、頼りにしてくれる、そんな新卒社員の態度を自分への好意だと勘違いする先輩社員たちも毎年現れます。

そして、自分へ好意を寄せているのだから、ある程度の行為は許されると勘違いし、セクハラ行為に及んでしまいます。

新しいコミュニティでうまくやっていくための、新卒社員たちの処世術が、ときにこのような悲劇を生んでしまうのです。

セクハラ被害からの心と体の守り方

プライベートの誘いは明確に断るなど、相手に好意があると勘違いさせないように心がけ、嫌なことは嫌だとはっきりと伝え、場合によっては、上司への相談、内部通報制度への通報を行いましょう。

入社時には、自社の内部通報制度の存在と使い方を確認しておきましょう。

内部通報制度とは

会社が、法令や社会的規範、企業倫理に従った行動を心がけることを企業コンプライアンスと言います。企業コンプライアンスを意識している会社には、多くの場合、社員を守るための制度が存在しています。

その一つが、内部通報制度です。パワハラやセクハラなど、社内で理不尽な行いが発生した場合に、加害者を会社に告発、通報することが可能です。通報後は、しかるべき調査が行われ、加害者は処分を受けることになります。最近は、会社も神経質になっており、処分も重くなる傾向にあります。

内部通報制度は存在しているかだけではなく、それがきちんと機能しているかを確認しておくことも大切です。企業ブランドのために制度を形ばかり作り、調査も処分も行わない、逆に通報者の匿名性が守られず、通報者が嫌がらせの対象となることはめずらしくありません。良識的な先輩社員に聞けば、自社の内部通報制度が正常に機能しているか、教えてくれるでしょう。

ここまで、新卒入社時の様々な危険や注意点についてご紹介してきましたが、本当に新卒社員のことを思い、搾取を目的とせずに導いてくれる先輩社員たちもたくさんいます。人間不信に陥る必要はありません。

ただ、どこに落とし穴がひそんでいるかはわかりません。相手を信じすぎることなく、常に冷静に、しっかりと見極めることが大切です。シゴトコは、皆さまの社会人生活を心より応援しています。