今回は、SEOの意味から、対策で必要な基礎知識、基本の対策内容、SEOを外部委託する際に失敗しない専門業者の選び方までご紹介します。
SEOは、知識がないことにより、良かれと思って行った施策が致命的な失敗に結びつくこともある怖い分野です。
また、SEOの専門業者には、知識がない事業会社の担当者をだまして、何の効果も上げないどころか、マイナスの効果を残して費用はきっちり回収する悪質な業者も多数存在しています。
この記事では、そのような失敗に陥らないために必要な知識を、筆者の実業務での経験をもとにまとめています。ぜひ、ご参照いただければ幸いです。
目次
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SEOの基礎知識
まずは、SEOの最低限知っておきたい基礎知識をご紹介します。
SEOとは? 意味と語源
SEOとは、GoogleやYahoo!などの検索サービスから、特定のWebサイトへの訪問者を増加させるための取り組みを意味します。
オーガニック検索(自然検索)と呼ばれる純粋な検索結果や、Googleが特別に用意している枠である強調スニペット、ユニバーサル検索などからの流入が、SEOの対象となります。
検索サービス内の有料広告(検索連動型広告/リスティング広告)の枠は、SEOの対象からは除かれます。
SEOは、英語の「Search Engine Optimization」を省略した言葉で、直訳すると「検索エンジン最適化」となります。
検索サービスの検索結果順位などの表示優先度を決めるアルゴリズムのエンジンに対して、対象のWebサイトがなるべく検索結果上位などの目立つ場所に表示され、訪問者が増えるように最適化していく取り組みであることを表しています。
なお、SEOに、検索サービス内の有料広告枠からの効率的な流入増加を目指すことなども含めた概念を、「SEM(Search Engine Marketing)」と呼びます。
SEOの重要性
現在、人々がWeb上で目的の情報を探す際に利用する主なサービスは、GoogleやYahoo!などの検索サービスや、TwitterやFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)になります。
それにあわせて、マーケターがWeb上での集客を目指す際の主なアプローチ先も、検索サービスやSNS、そして、そこに掲出可能な有料広告となります。
このうち、SNSはどちらかと言えば一過性の集客になりがちであり、広告出稿は継続的な予算の支出が必要となります。
その点、検索サービスからの集客を目指すSEOは、地盤が整備できさえすれば、予算を削減していっても継続的な集客が見込めるため、とても魅力的な手段となります。
SEOの対象はGoogle
日本でWebの検索サービスを利用しているユーザーの約90%が、GoogleかYahoo!を利用しています。
しかし、2010年12月に、Yahoo!は独自の検索結果の順位決定アルゴリズムの利用を取り止め、Googleのアルゴリズムを採用することになりました。現在は、Yahoo!もGoogleと同じ基準で検索結果の順位が決まっているということです。
そのため、日本のユーザーを対象としてSEO対策を行う際には、Googleに対してのみの最適化を進めれば、ほぼ問題がないことになります。
SEO対策の基本
ここからは、SEO対策の基本的な内容をご紹介します。
SEOを行う目的を明確化する
まず、前提として、何を目的としてSEOを行うのかを、明確化する必要があります。
具体的に、どのようなキーワードで検索したユーザーが、Webサイト内のどのページに訪問して、Webサイト内でどのような動きをして、事業目的につながるアクションに至るのか、イメージを固めましょう。
複数のキーワードや経路があっても問題ありませんが、それぞれにユーザーがどのような意図を持って、そのキーワードで検索をするのかを、ユーザーの気持ちになってシミュレートすることが大切です。
事業目的につながらないユーザーをいくら呼び込んだところで、事業は成功しません。
事業目的につながりそうなユーザーと検索キーワードに狙いを定めて、ターゲットとなるキーワードで検索された際に、自身のWebサイトが上位に表示されることを目的として、SEO対策を始めます。
なお、選定したキーワードが、検索サービス上でまったく検索されていなかったら意味がありません。キーワードがどの程度の回数検索されているかは、Googleが提供している広告出稿サービス「Google 広告」内のツールである「キーワードプランナー」で確認することができます。
ただし、あくまで広告出稿用のサービスであるため、最初のログイン時などには、広告出稿を前提とした誘導と案内が続きます。また、月200円程度の出稿を行わないと、詳細な検索回数はわかりません。出稿せずともだいたいの目安の数字はわかりますので、一度お試しいただければ幸いです。
Googleが開示している手引きに従う
Googleは、どのようなWebサイトを優良サイトとして評価するのかや、逆に悪いサイトだと判断するのかについて、情報を公開しています。
Googleによる、以下のスターターガイドとガイドラインを熟読し、従うことが何よりの対策となります。SEO施策において必要なことは、ほぼすべてここにまとまっています。
- 検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja - Google 検索の基本事項
https://developers.google.com/search/docs/essentials?hl=ja - その他、様々なガイドラインが公開されています
https://developers.google.com/search/docs?hl=ja
ユーザー目線でサイトを構築する
Googleのガイドラインに記載があるとおり、検索結果の順位を上げるコツは、訪問してきたユーザーが求める情報を、的確に、わかりやすく、ストレスレスに提供することです。いわゆるユーザーファーストを実現していくことに他なりません。
そのために、特に気をつけるべきポイントは以下のとおりです。
- コンテンツの情報量と質を、ユーザーが満足し、競合に負けないレベルにする
- コンテンツの閲覧の邪魔になるような広告の掲出の仕方は避ける
- 提供するコンテンツの情報は、専門性、権威性、信頼性を充足するように意識して作る(いわゆる「E-A-T」)
- スマートフォンから閲覧しても文字が小さすぎず、横幅がはみ出ないなど、ストレスなく見られるように作る(いわゆる「モバイルフレンドリー」)
- ページの表示速度や反応速度、見た目の安定性などのWebサイトのパフォーマンスを整える(いわゆる「Core Web Vitals」)
SEOを内製するか外注するか
Googleのガイドラインに目を通した結果、内容が理解でき、自社内でも実施可能だと判断できる場合には、SEO対策の内製にチャレンジしてみてもよいでしょう。
内容が理解できなかったり、自社内の人員では実施が難しいと思う場合には、SEOの専門業者への外部委託を検討する必要があるかもしれません。
急な順位の変動にあわてない
具体的に施策を始めたら、うまく行っているのかを確認するために、効果測定を行うことと思います。
その際には、Googleが提供する「Google Search Console」や、有料の「GRC」などの各種ツールで、キーワードごとの検索結果順位を確認するのが一般的です。
そこでたびたび直面するのが、急な順位の変動です。
Googleは、順位決定のアルゴリズムを毎日のように調整しており、順位は常にゆれ動いています。また、年に数回、コアアップデートと呼ばれる大きなアルゴリズムの変更を行い、順位が大きく変動します。
これらの順位の変化に一喜一憂し、振り回されることはお勧めできません。
Googleも完璧ではなく、アルゴリズムの変更により、適切ではない順位づけをしてしまうこともめずらしくはありません。
しかし、適切ではない順位は、その後、適切な順位になるように調整されていくはずです。
SEO担当にできることは、Googleを信じて、前述のユーザーファーストのサイト作りをコツコツと続けることです。
ただし、いつまでも順位が下がったままのコンテンツは、見直しの検討が必要です。
失敗しないSEOの外部委託会社の見分け方
最後に、SEO対策を外部委託する人に向けて、悪質なSEO会社の見分け方をご紹介します。
また、筆者がインハウスSEO担当として、実際に一緒に取り組みをしてきたSEO会社のレビューを掲載しています。
SEO会社は悪徳業者が多い
SEOの特徴として、Googleがガイドライン違反としている施策を行うことで、一時的にしろ順位が上昇することがあるという点が挙げられます。
そのような裏技的な行為は、真面目にSEO対策を進めるよりも楽に行えることが多く、手っ取り早く効果を出したい人には魅力的に映ってしまいます。
しかし、もしそれがGoogleに見つかった場合には、ガイドライン違反で検索結果上から自身のWebサイトが排除される可能性が高い非常に危険な行為です。そして、Googleはそのような不正を撲滅するために日夜アルゴリズムを改修しており、いずれはすべての違反者を必ず見つけ出し、制裁を下すことになるでしょう。
悪質なSEO会社は、楽をして効果を出したい会社の担当者の気持ちにつけこみ、そのようなガイドライン違反のSEO施策の提供を持ちかけてきます。他のまともな会社は提供していない独自性のあるサービスです。多くの会社が現在進行形でだまされています。
この不誠実な商売は、たちが悪いことに、一時的には効果が出てしまうことが多いため、だまされている方もなかなか気づきません。むしろ、一時的に順位が上がって、その後、Googleに見つかって下がった際に、再度SEOのコンサルを売り込むチャンスが訪れます。バレにくい上に、自作自演で二度も売上を上げられるため、悪質なSEO会社はいまだに滅びず、たくさん存在しています。
悪質なSEO会社の見分け方
以下のSEO会社は、悪徳業者である可能性があり、要注意です。
- Googleのガイドライン違反の提案をしてくる
- 営業がしつこい
- 社名で検索すると悪評が出てくる
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
Googleのガイドライン違反の提案をしてくる
こちらは前項でご紹介したとおりです。
中でも多いガイドライン違反の売り込みは、「被リンクの購入」です。代金を支払うことで、SEO会社が対象のサイトへ多数のリンクを張り、Googleからの評価を高めようというものです。
自然に集めた被リンクは、確かにSEOに有効です。しかし、Googleは有料でリンクを集める行為を禁止しており、不自然な被リンクはペナルティの対象となります。
その他、内容が薄くても良いのでとにかくコンテンツ数を増やしましょうと提案してくる業者もいますが、現在、低品質コンテンツの掲載はSEOに逆効果になりかねません。
発注する側もGoogleのガイドラインを読み込み、何が違反になるのかくらいはわかるようにしておく必要があります。また、提案された内容を、ユーザーから見て良いWebサイトになるのかという視点で常に考えることで、あやしい提案を断ることが可能となります。
営業がしつこい
良いSEO会社は、常にアップデートされるGoogleのアルゴリズムに対応するために、社内での研究や施策を動かす人員にコストを割いています。
そして、その成果をもって、顧客を獲得し、口コミで販路を拡大しています。
逆に、営業人員にコストを集中させるなど、営業力が強いSEO会社は、実績がいまいちで営業で売らないといけない環境にあることがめずらしくありません。
しつこく営業をされた際には、一歩引いて保留し、いろいろな会社を自分で調べて探してみて、何社かを比べて検討することをお勧めします。
社名で検索すると悪評が出てくる
今の時代、悪評はすぐに広まります。
特定のSEO会社の名前を検索すると、「だまされた」、「効果が出なかった」などの書き込みが簡単に見つかります。
気になる会社を見つけた場合は、GoogleやTwitterで、「社名 SEO 評判」などで検索してみると良いでしょう。
SEO会社レビュー
SEO会社と一口に言っても、様々なタイプの会社があるということを知っていただきたく、筆者が一緒に仕事をした会社をご紹介しています。
なお、社名は伏せさせていただいております。
S社
SEO業界では名の知れた会社ですが、典型的な営業力で売るタイプの会社です。
提案内容は可もなく不可もなくといった印象です。
有能な担当者はいるものの、人材の流出が続いているらしく、当たりの担当者に出会える確率は下がっていると感じます。
W社
コンテンツ制作で強みがあった会社ですが、どちらかと言えば低価格で低品質なものを大量に作る方面が得意だったこともあり、ひたすら高品質が求められる新しいSEOの潮流に乗り切れていない印象です。
N社
コンテンツ制作で強みがある会社で、高価格で高品質なものを作ることを以前から続けているため、新しいSEOの潮流に乗れている印象です。
他社に比べて相対的に高品質とは言え、発注する側の会社が内容をきちんとファクトチェックをする必要があるレベルではあります。
D社
大手広告代理店のD社は自社ではSEOを行っていませんが、様々なパートナー会社がおり、SEOも引き受けてくれます。
しかし、「被リンクの購入」を「きれいなリンクだから大丈夫」と持ちかけてくる事例があり、注意が必要です。
まとめ:SEOは難しくない
ここまでいろいろとご紹介してきましたが、結局のところ、SEOはユーザー目線でWebサイトを作ることができていれば、それだけで十分なのです。
Webサイトを閲覧するユーザーの気持ちになって、「情報が不足していないか」、「サイトの構造はわかりにくくないか」、「スマホでちゃんと見られるか」、「ページが重くないか」などのことを気にして、改善を続けていれば、検索サービスからの流入も自然と増えていくことでしょう。
確かに、専門的で細かな対策も存在していますが、それはあくまでも助力です。ユーザーファーストという基本を忘れないことが一番の対策だと言えるでしょう。