上司が法律や規則を守らないときの対処法 – 共犯にされる部下たち

残念ながら、上司が法律や会社の規則を守らないのはめずらしいことではありません。

それは、「これくらいなら違反しても大丈夫」という意識的なものもあれば、法律や会社の規則を知らない無知によるものまで様々です。

そのことにより、上司が処分されるだけならまだしも、上司の指示で動いていた部下までも処分の巻き添えとなるケースが後を絶ちません。

上司が法律や会社の規則を守らないとき、部下は自分の身を守るためにどうしたらよいのでしょうか。

基本は関わらない&通報

その違反行為が、上司だけで完結している場合は、表面上は気づいていないふりをして、関わらないようにすることをお勧めします。

その上で、自身に報復などの危害が加わる可能性がなさそうなきちんとした会社であれば、さらに上の上司や、会社の規則違反を取り締まるコンプライアンス部門に通報をしましょう。

問題は、上司が法律や会社の規則に反した指示を、部下にしてきたときです。

仕事に関係する法律と規則を知っておく

まず、前提として、自分の仕事に関係する法律や会社の規則をきちんと把握しておく必要があります。

上司からの指示の内容が、法律や会社の規則に照らして問題ないかどうかが、自分で判断できなければ、上司に言われるがまま知らないうちに違反行為に手を染め、上司ともども会社から処分される未来を防ぐことができません。

上司に確認して大丈夫だと言われても、上司も不完全な人間であり、完全に信用することはできません。自分の身を守ることができるのは自分だけなのです。

仕事をする上で知っておきたい法律

普段あまり意識することはありませんが、仕事で当たり前のように行っている行為の多くに、法律の規定が存在しています。

働いている人の業種や職種に応じて様々な法律が関わってきますが、ここでは普通に働いている中で、無意識のうちに違反しがちなものをご紹介します。

労働基準法

労働に関するあらゆる事柄を規定しているのが労働基準法です。

特に、法律に定められている上限を超える時間を働いてしまったり、義務づけられている日数の有給休暇を取得しなかったりすることで、会社が責任を問われてしまう点に注意が必要です。

著作権法

例えば、会社でチラシやWebページを制作する際に、画像の素材が必要になることがあるかと思います。

その際に、著作権に対しての意識が薄いと、Web上で適当に検索して手に入れた画像などを軽い気持ちで使ってしまいがちです。

しかし、他人が制作した画像や撮影した写真には著作権が存在しており、無断で使用することは、原則的に法律違反となってしまいます。

また、素材サイトなどが配布している画像を使用する際にも、改変や営利目的での使用が禁止されている場合や、使用する点数に制限がある場合もあるので、利用規定などを確認しておくことが大切です。

個人情報保護法

顧客などから預かる個人情報の扱いや利用に関しては、法律で厳格に規定されています。

氏名などの直接的な情報以外であっても、他の情報と突き合わせることで個人を特定することが可能な情報は個人情報として扱う必要がある点や、事前に相手から同意を得ていない利用目的での個人情報の利用はできない点などに注意が必要です。

景品表示法

会社の商品やサービスを売り出すときには、魅力的なキャッチコピーをつけたくなることと思います。

しかし、消費者を惑わせる事実と異なる内容や、誤解を生じさせる過大な表現を使用することは法律で禁止されています。

例えば、もとから5,000円で販売している商品を、もとは10,000円だったものが50%割引になったものだと偽って販売したり(二重価格表示)、10名限定で5,000円で販売していると表示しながら、実はすべての人にその金額で販売をしていたり(有利誤認表示)する行為など、様々なものが規制の対象となっています。

また、「日本一」や「世界初」などといったキャッチコピーには、根拠となる調査結果について、その調査方法や範囲、期間などといった情報を明瞭に記載する必要がある点に注意が必要です。

下請法

大きめの企業に勤めている場合は、仕事を外部の業者に発注する際に下請法の規制を受けることを認識しておく必要があります。

受け取る約束をしていた納品物の受領を拒否したり、契約締結後に発注金額を減額したり、納品物を受領後に追加費用なしでやりなおしを要求したりするなど、主に外注先の業者の利益を損ねる行為が法律違反に該当します。

長い付き合いの業者との間で、両者が合意の上で上記のような行為を行っていても違法となる点に注意が必要です。

業務上横領罪

気軽な気持ちであっても、キャンペーン施策などで余った金券を自分のものにして使ったり、換金してしまうと業務上横領罪になります。上司に「一緒に使っちゃおうぜ」などと言われても犯罪です。

その他、金融商品を取り扱っている人であれば金融商品取引法など、自身の業務に関わる法律については中身を知っておく必要があります。

仕事をする上で知っておきたい会社の規則

法律とは別に、会社ごとに様々な規則が定められています。

代表的なものとして就業規則があり、その他、業務ごとに細かく定められているのが一般的です。

その中でも、特に注意を払わなければならないものについてご紹介します。

職務専念義務

だいたいの会社の就業規則には、職務専念義務の記載があります。就業時間中は、職務に専念しましょうという一般的な規定です。

上司に誘われるがまま、常識を逸脱した頻度でたばこ休憩などに赴いていると、上司ともども処分を受ける可能性があります。

守秘義務

だいたいの会社の就業規則には、守秘義務の記載があり、入社時には誓約書も書かされているかと思います。職務上知りえた情報を外部に漏らさないようにしましょうという規定です。

エレベーター内や飲み会の席などで、会社の話を気軽にしがちですが、実は危険な行為です。

セキュリティガイドライン

情報漏えいへの危機意識の高まりから、ほとんどの会社でなんらかのセキュリティガイドラインが定められるようになりました。

作業用のデータを移すために、会社のパソコンに個人のUSBメモリを差し込んだりしがちですが、USBメモリの差し込み自体を禁止している会社も少なくありません。

上司の「ちょっとくらいいいよ」などの言葉には注意が必要です。

その他、新しい業務に臨む際には、まずは社内のルールを確認してみることをお勧めします。

なぜ上司は法律や規則を破るのか

そもそも、なぜ上司は自分の身を危険にさらしてまで法律や会社の規則を破るのでしょうか。

その理由はただ一つ、「今までなんとなく大丈夫だった」からです。

人は良くも悪くも慣れる生き物です。入社したてや管理職になりたての頃は、いろいろと注意して仕事に臨んでいたことでしょう。

しかし、月日が経ち、「これくらいなら違反しても誰にも指摘を受けないのか…」、「規則的に危なそうだけど前任者もこのやり方だったし平気か…」、「よくわからないけど監査部門から指摘を受けてないしこれでいいか…」などの経験を積んでいくことで、いつの間にか自分独自の違反容認基準を構築してしまいます。

今までが大丈夫だったとしても、これからもずっと大丈夫な保証はどこにもありません。違反行為が表沙汰になり、処分されるのはいつも突然です。

何かのきっかけで「今まで誰にも何も言われなかったこと」が糾弾の対象となり、今まで積み重ねてきたその会社でのキャリアが台無しになります。

人間には、「正常性バイアス」と呼ばれる、「自分だけは大丈夫」と物事を過小評価してしまう性質もあり、このような事案はなかなかなくなりません。

上司から危険な指示を受けたら

上司による独自の違反容認基準の被害にあうのはその部下たちです。

部下は、上司から「これくらいなら大丈夫だよ」などと気軽に違反行為を指示されます。

今その瞬間は大丈夫かもしれませんが、その違反行為がしかるべきところに露見し、指摘を受ける事態となった際に、指示を受けて動いた部下も実行者として処分される可能性が十分にあることを肝に銘じなければなりません。

社内での処分を受ければその後の昇進に響くでしょうし、場合によっては刑事罰を覚悟しなければなりません。

しかし、上司の指示は断りにくいものです。いったいどうしたらよいのでしょうか。

対処法としては以下のものが挙げられます。

  • 違反行為である懸念を上司に伝える
    もしかしたら、違反行為の懸念があることを無知な上司が知らないだけかもしれません。まずは、その懸念を伝えてみましょう。
  • さらに上の上司に相談する
    上司が違反行為であることを自覚して指示してきている場合、さらに上の上司に相談する必要があります。
  • コンプライアンス部門に相談する
    上司のさらに上の上司にも無下にあしらわれた場合、会社の規則違反を取り締まるコンプライアンス部門に相談する必要があります。
  • 転職する
    もし、会社として法律違反を容認している場合、犯罪者になるくらいならば転職することをお勧めします。

まとめ:会社内は犯罪のハードルが下がる

会社はある種の閉鎖空間です。

独自のルールのもとで、独自の人間関係が形成されています。

そのような特殊なコミュニティの中では、法律などよりも自分たちのルールの方が優先されがちです。

結果として、社会規範として決して受け入れられないようなパワハラ行為やセクハラ行為が、当たり前のように行われるようになります。

私たちは、会社という閉鎖コミュニティ独自のルール、空気、同調圧力に惑わされることなく、やっていいこととやってはいけないことを、客観的な視点で考える必要があります。

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