周りが全員バカに見えるときの対処法 – おかしいのは自分か周りか

「周りの人間が全員バカにしか見えない、バカだとしか思えない」と憤る人を見ることがあります。そのような人たちに実際に話を聞いてみると、そのパターンは大きく以下の二つに分かれていることがわかります。

  • その人の認識に誤りがあり、その人自身に問題があるパターン
  • 実際に、周りの人たちに問題があるパターン

今回は、周りが全員バカに見えてしまいお困りの方へ、パターン別に対処法をご紹介したいと思います。

おかしいのは自分か周りか

まずは、問題が自分の側にあるのか、周りにあるのかを、今一度、冷静に考える必要があります。

ここで重要となる考え方が、自責と他責です。

自責とは、自責思考とも呼ばれ、何か問題が発生した際に、その原因をまず自分の中に探す考え方です。

自責思考は、仕事ができる社会人の必須スキルと言っても過言ではありません。

一方、他責とは、他責思考とも呼ばれ、何か問題が発生した際に、その原因をまず他者の中に探す考え方です。

他責思考の人は、なかなか成長できず、評価もされない傾向にあります。

周りが全員自分よりも劣っていると感じている状況においても、その人が本当に仕事ができる優秀な人材であれば、当然、問題の解決にあたっては自責思考を採用することでしょう。また、その人自身の認識に問題がある場合は、当然、その解決には自責思考が適しています。

結論がどちらであるにせよ、自分自身に問題があるのではないかと疑うことからはじめてみましょう。

その人自身に問題があるパターン

その人自身に問題がある場合、現実とその人の認識にずれが生じていることになります。なぜそのようなずれが発生してしまうのでしょうか。

人間には、認知バイアスという現実を正しく認識することを阻害する習性が備わっています。有名なものとしては、災害時などに、客観的に見れば明らかに危険な状態なのに、被害にあう寸前の当人は「自分だけはだいじょうぶ」と思い込んでしまい、被害の拡大につながる正常性バイアスがあります。人の認識は必ずしも正しくはないのです。

「周りの人間が全員バカにしか見えない」状態の人も同様に、認知バイアスが働いている可能性があります。

例えば、仕事上で「自分の思いどおりに事が進まない」、「自分の実力を発揮できていない」、「自分の実力なら本当はもっと成果を出せているはずだ」と感じている人が、その理由を「自分の能力が足りていない」と結論づけることは、自己の否定であり、たいへん抵抗があるものです。

そのような場合に、自身のプライドを守るために、自分が劣っているという事実を認める精神的負荷を軽減するために、認知機能にバイアスが働き、「仕事がうまくいかないのは自分のせいではなく、周りが悪いのだ」、「周りがバカだから自分が活躍できないのだ」と、自動的に変換する人はめずらしくありません。

自身に問題があった場合の対処法

もし、そのような認知バイアスにより、自分自身の認識に問題がある場合は、まずは事実を素直に受け入れることが大切です。

人が成長するためには、現状において足りていない部分を正しく認識することが必要です。現状の正しい問題認識により、はじめて正しい改善策を考えることができます。現状をありのまま受け入れることができなければ、その人は一生そこから前に進むことができないでしょう。

また、自分自身の劣っている部分をはずかしいものと考えず、その欠点も含めて自分自身を肯定してあげることをお勧めします。

他者から劣っていようが、仕事ができなかろうが、人は今その時点の状態で生きていかなければなりません。それならば、今この時点の自分の能力を受け入れ、その上で、その能力でうまく生きていく方法や能力を伸ばしていく方法を一生懸命考える方が合理的です。悲観的になったり、自分をごまかして虚勢をはるメリットはありません。

なにより、本当は実力がないのに「周りの人間が全員バカにしか見えない」と虚勢をはっている人は、周りから見ると、本当は実力がないことも、それが自分で認められずに一生懸命に虚勢をはっていることも、一目瞭然なのが現実です。皆、空気を読んで指摘しないだけです。そのような誰も得をしない状況だけは避けるべきだと言えるでしょう。

周りの人たちに問題があるパターン

自責思考の結果、自身に問題がなかった場合、周りの人たちに問題があるという結論になります。その人は本当に優秀なのでしょう。

ここで本当に優秀な人たちが認識しておかなければならないのは、世の中に仕事ができる人というのはあまり存在しないという事実です。

会社にもよりますが、10人の社員がいた場合、自分自身で現状必要な仕事を考え、課題を適切に解決に導ける人が1人から2人程度、言われたことならある程度きちんとできる人が5人程度、言われたこともきちんとできない人が3人から4人程度でしょう。

この優秀な1人から2人の人にとっては、実際に「周りの人間が全員バカにしか見えない」のかもしれません。

周りに問題があった場合の対処法

それでは、その限られた優秀な人たちはどのようにしたらよいのでしょうか。

限られた優秀な人たちに与えられた役割は、そのままでは会社の役に立たない人たちを、どうにかして会社の役に立てることです。周りがバカだと見下し、放っておくことは、仕事ができる人間の役割の放棄です。能力に差異のある人たちが皆、何らの形で活躍できる仕組みを構築することが求められます。

そのような役割を担うことができれば、自然と管理職となり、会社の経営を担う立場へと出世していくことでしょう。

その役割を果たす際に、最も大切なことは、管理職としても必要な考え方になりますが、「他の人が自分自身と同じように仕事ができると思わない、同じように仕事をさせようと思わない」ことです。

人はそれぞれに向き不向きがあり、がんばればできる人もいれば、いくらがんばってもできない人もいます。そのことを理解した上で、仕事ができる人は、人それぞれの個性と限界を考慮し、仕事ができない人を導く必要があります。個々の違いを理解せず、自分自身の成長過程をそのまま他の人にも歩ませようとする指導役は失敗します。

得意そうな分野があれば、チャレンジさせてあげましょう。

単純作業しかできないのであれば、単純作業を極めてもらいましょう。

自分よりも劣っている人をバカにしている暇があるならば、その人材を給料分、役に立てる方法を一生懸命考える方が、自分自身のキャリアにとっても有益だと言えるでしょう。