本来、会社における昇進は、実力主義であるべきです。
しかし、残念ながら、昇進が実力以外の要因に左右されるケースはめずらしくありません。
それは、年功序列であったり、コネであったり、ゴマすりの結果であったり、昇進を決定する人間の目が節穴だったり、様々な理由によるものです。
そのような理由の中でも、よく耳にはするけれど、昇進との因果関係に特に納得がいかないものとして、「男は結婚していないと昇進できない」という話があります。
結婚しているかどうかなどというプライベートなことが、いったいなぜ会社での昇進と関係があるのでしょうか。そもそも、本当に結婚と昇進は関係しているのでしょうか。
今回は、結婚と昇進の関連性のなぞや、未婚者はその不利を挽回できるのかについて、考えていきたいと思います。
なぜ既婚者が昇進で優遇されるのか
既婚者が昇進で優遇される理由としては、以下のものが挙げられます。
- 結婚している人間はお金が多く必要になるからという会社経営上必要のない優しさ
- 結婚して家庭を運営できてるなら会社のチームも運営できるだろうというこじつけ
- 結婚できたのなら他人に認められたちゃんとした人物だという古い価値観
- 40歳を超えて結婚していないのはその人に何か問題があるからだという古い価値観
- 結婚すると気軽に会社を辞められないから責任ある立場につけても安心というリスク管理
これらは、整合性に問題があったり、時代錯誤な価値観であったり、公平性がなく、現代の労働者にはなかなか受け入れがたい内容なのではないでしょうか。
昨今は、多様な生き方が受け入れられ、結婚しない生き方を積極的に選択する人も増えています。逆に、そのような個々の価値観を頭ごなしに否定することは、眉をひそめられる行為となってきました。
また、会社のコンプライアンスが重視される現代において、ルールに則さない、個人の感情や意味不明な理屈で昇進が左右されることを良しとしない風潮も当たり前のものとなりました。
しかし、残念ながら、まだまだ上記のような理由が昇進を左右している会社が多いのが現実です。
人はすぐには変われない生き物です。新しい価値観が完全に浸透するには時間がかかるのです。
価値観が変わるのには時間がかかる
会社の中には20代から60代の、まったく異なる常識の中で生きてきた世代が同居しています。全体の意思決定を担う、古い価値観で何十年も生きてきた世代の人たちは、若者たちの価値観などすんなりと受け入れてはくれません。
古い世代の人たちは、若者たちの意見によってではなく、社会的な要請によって仕方なく、新しい価値観をルールとして受け入れざるをえなくなり、まずは形だけ取り入れます。それを自分自身の価値観として受け入れるには、さらに長い時間がかかります。
そして、ルールとして形だけ取り入れることにより、表面的には既婚者を優遇していないとしていながら、裏では今までどおり既婚者に手心を加える会社が生まれます。
自分の会社も既婚者優遇かもしれない
既婚者が昇進で優遇される会社には、「あからさまに既婚者を優遇している会社」と、「表面的には既婚者を優遇していないふりをして実は裏でさりげなくしている会社」の2パターンが存在しています。
あからさまな会社は、経営層や管理職に古い価値観が根深く残っており、それが会社の体質として定着してしまっているのでしょう。一方で、さりげない会社は、経営層や管理職が表面上は新しい価値観に適応しているとアピールしていますが、その身に沁みついた古い価値観が捨てきれず、目に見えないところで評価に影響を与えています。
さらに、さりげない会社にも、「悪いことだとわかっているので口外せずに裏ルールとして行っている会社」と、「会社としては新しい価値観のルールに準拠しているつもりでも担当者レベルで無意識のうちに既婚者に手心を加えてしまう会社」の2パターンが存在しています。
後者となると、個人の頭の中の話なので、その事実が明らかになる可能性はほぼありません。
自分の会社はそんな理不尽で前時代的な基準で昇進を決めていないと思っていても、表面上はわからないことがあるので注意が必要です。
未婚者は不利を挽回できるのか
それでは、未婚者はその理不尽なアドバンテージをくつがえすことができるのでしょうか。
基本的には、くつがえすことは難しいので、くつがえす必要がない、新しい価値観に適応した、コンプライアンスがきちんとしている会社を選ぶことをお勧めします。
もし、既婚者が昇進で優遇される古い価値観の会社に勤めてしまった場合、未婚者にできることは以下のことしかありません。
- 普段の仕事をとおして、管理能力があることを見せつける
- 普段のコミュニケーションをとおして、まともな人間であることを見せつける
- 普段のコミュニケーションをとおして、会社に従順であることをアピールする
それでも、他人の先入観を払拭するのはなかなか骨が折れることでしょう。
会社選びを慎重に行うことが求められます。