虚礼とは? 意味と廃止される職場のバレンタインや年賀状

虚礼(きょれい)とは、心や誠意がともなっていない形ばかりの礼儀を意味します。

代表的な例として、形骸化したバレンタインや年賀状、お中元、お歳暮、通夜への参列などが挙げられます。

昨今は、経費削減や業務効率化、各種ハラスメントの防止などを目的として、企業が社員や取引先に対して虚礼の廃止を表明することもめずらしくありません。

虚礼を廃止することを、「虚礼廃止(きょれいはいし)」と表現します。

今回は、虚礼の実例とデメリットや虚礼廃止のメリットについて、詳しくご紹介します。

虚礼の実例とデメリット

職場において虚礼となる可能性の高い慣習としては、以下のものが挙げられます。

  • バレンタイン
  • 年賀状
  • お中元・お歳暮
  • 通夜への出席

それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。

バレンタイン

バレンタインデーに毎年、社内の女性社員たちが共同して男性社員にチョコレートを配る会社は今も存在しています。

そして、ホワイトデーには、逆に男性社員たちが共同して女性社員たちにお返しを配る光景が多く見られます。

もともとは、職場の人間関係を円滑にしたいというポジティブな思いから、有志によって始められたイベントのはずです。

しかし、参加者が多くなるにつれ、参加しないことが悪いことのような雰囲気となり、最終的には空気を読むことを強要する無言の圧力である同調圧力によって、事実上の強制参加イベントと化すのが一般的です。

慣習化されたイベントはシステム化され、多くの場合は新入社員たちの仕事に落とし込まれます。もはや単なる業務です。しかも経費は自腹です。

企画から集金、物品の購入、配布に至るまで、各種作業はそれなりの負担となります。労働力と金銭を半ば強制的に徴収されることに不満を感じている人も少なくないのではないでしょうか。

年賀状

職場における年賀状としては、営業職の社員などが取引先に向けて出すものと、社内で上司や同僚に向けて出すものが存在しています。

取引先への年賀状

年末が近づいてくると、営業職の社員たちが大量の年賀状を手書きで用意する光景を見たことがある人もいるのではないでしょうか。また、実際に用意したことがある人もいるのではないでしょうか。

確かに、取引先へのポジティブな存在アピールにはなるため、営業活動の一環として、やらないよりはやった方がよいことは間違いありません。

しかし、年賀状を出す出さないが、今後の受注などの関係性に影響を及ぼすことは、ほとんどないのが現実です。かける手間に対してのリターンは、あまりにも少ないと言わざるを得ないでしょう。出している本人も、出したくて出しているというよりは、皆が出しているから作業的に出しているのではないでしょうか。

受け取る側の一意見としても、正直どこからもらったか記憶していませんし、受け取って捨てるのも面倒です。

上司や同僚への年賀状

社会人の礼儀として、上司や同僚に年賀状を出すべきだという考えは、いまだに一部で存在しています。

しかし、昨今は個人情報の取り扱いに気を使うのが当たり前となっており、相手が同僚であったとしても、むやみに住所を明らかにすることは差し控える風潮にあります。得体の知れない同僚に住所を知られているのって、なんだか怖いですよね。

また、そもそも労働契約とは関係のない業務時間外に、自費で手紙を出すことを強制されるのは問題があります。

もちろん、自発的に行うことは問題ありませんが、大勢が当たり前のように行うようになると、行っていない人が目立つようになり、同調圧力を感じてしまったり、心ない人から批判を受けることにもつながってしまいます。

お中元・お歳暮

枠組みとしては、年賀状とほぼ同様であり、営業職の社員などが取引先に向けて出すものと、社内で上司などに向けて出すものが存在しています。

取引先へのお中元・お歳暮

年賀状とは異なり、具体的な物品の供与をともなうため、経費相応の効果が期待できますが、取引先との癒着、不公正な関係を疑われることにつながりかねません。

公正な競争、透明性のある取引が求められる昨今、行われなくなる傾向にあります。

上司などへのお中元・お歳暮

かつては、上司にお中元やお歳暮を贈ることで、礼儀がきちんとしており、気が利くやつだと認識され、出世や評価に結びつくこともめずらしくありませんでした。

しかし、公正で透明性のある評価が求められる昨今、行われなくなる傾向にあります。

通夜への出席

取引先や社員の通夜への会社としての出席も、今や虚礼として廃止される傾向にあります。

突き詰めてしまえば、人の生き死には個人的なことであり、会社の業務とは関係がありません。

出席したしないが会社の業績に影響することはありませんし、会社として見れば、純粋に人的コストと香典費用の浪費となります。

個人的に思うところがある人が、個人的に参加すればよいものになりつつあります。

虚礼廃止のメリット

虚礼廃止のメリットとしては、経費削減や業務効率化、各種ハラスメントの防止などが挙げられます。

経費削減

年賀状やお中元、お歳暮、通夜の香典など、虚礼に必要な経費は、一つひとつは微々たるものですが、積み重なることによってそれなりに大きな出費となります。

会社の売上へのリターンがほとんど期待できないことを考えるならば、廃止した分がそのまま経費削減につながります。

業務効率化

また、それぞれの虚礼を実施する際には、大小さまざまな作業が発生します。これらも一つひとつは微々たるものですが、社員全員の作業時間の積み重ねで考えると、それなりに大きな人的コストの浪費となります。

会社の売上へのリターンがほとんど期待できないことを考えるならば、廃止した分がそのまま業務効率化につながります。

各種ハラスメントの防止

各種虚礼は、本来は義務ではないはずなのに、実施することが当たり前となることで、実施しない社員への批判や嫌がらせ、不当な評価などの、パワハラを筆頭とする各種ハラスメントにつながる可能性があります。

昨今は、各種ハラスメントの発生が会社の評判を大きく傷つけることもめずらしくなく、会社としてはトラブルのもとになりかねない虚礼を率先して廃止することで、リスクの管理を行うことができます。

虚礼と同調圧力

有志が善意によって始めたものが、いつしか当初の志が抜け落ち、形ばかりが残った慣習、虚礼となってしまいます。

業務上の義務ではないものは、本来自由意志で実施が判断されるべきですが、同調圧力がそれをなかなか許してくれません。

同調圧力という人の性質を変えることはできません。虚礼やそれにともなう同調圧力に疑問がある際は、経費削減や業務効率化、各種ハラスメントの防止などの会社としての実際のメリットに訴えかけ、会社側から変化を促すことをお勧めします。