『DEATH NOTE(デスノート)』は、原作を大場つぐみ氏、作画を小畑健氏が担当し、2003年12月から2006年5月まで『週刊少年ジャンプ』上で連載されていたマンガです。
作品を未読の方は、以下をご参照いただき、ご興味のある方はぜひお読みください。
(※書籍の画像やタイトルをクリックすることで、Amazonのサイトに移動します。)
子どもから大人まで、数多くの人に、「人の名前を書くとその人が死ぬデスノートが実際に手元にあったらなぁ…」と夢を抱かせた、今なお根強い人気をほこる名作です。
今回は、その人気マンガ『DEATH NOTE』の主人公であり、新世界の神である夜神月(やがみらいと)氏に、社会人としての働き方を学びたいと思います。
夜神月氏は警察庁の国家公務員
夜神月氏は、警察庁に勤める国家公務員です。
学生時代は、世界一の探偵L(える)のもとでインターンをしており、学生ながらにLに一目を置かれる秀でた存在でしたが、そのLは仕事中に心臓麻痺で亡くなってしまいます…。
その後、いろいろあった末に、憧れの父親と同じ警察庁の一員として社会人デビューをはたします。
夜神月氏の目標
そんな夜神月氏の目標は、「新世界の神」になることです。
ここで言う「新世界」とは、夜神月氏の価値観で悪人とされる人間を抹殺していき、消されることを恐れた民衆が悪事を働かなくなった世界、夜神月氏が認めた真面目で心の優しい人間だけの世界のことを指します。
その世界に夜神月氏が神として君臨しようという壮大な目標です。
高校生のときにはすでにこの目標をはたす決意を固めており、警察庁に入庁したのも、目標を達成する手段として都合が良いと判断したからでしょう。目標に向かって一直線、合理的な人物像が見て取れます。
夜神月氏の国家公務員法違反
目標を達成するための踏み台として選んだ職業なこともあり、夜神月氏の社会人としての勤務態度は、あまり褒められたものではありませんでした。
国家公務員でありながら、国家公務員法に定められた服務規程を複数違反しています。
なお、夜神月氏は、作品をとおしてずっと大量殺人の容疑もかけられていましたが、デスノートに名前を書くことと名前を書かれた人間が死ぬことの因果関係が立証できないため、罪には問えません。それよりも国家公務員法違反です。
「政治的行為の制限」の違反
国家公務員は、国家公務員法第102条で「政治的行為の制限」を課されています。
政治的行為の制限(国家公務員法第102条)
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
しかし、夜神月氏は、悪人は即死ぬべきであるという政治思想を世間に浸透させることに余念がありませんでした。新世界の神となる目標のために、全精力を傾けて活動にあたります。
努力のかいもあって、その政治思想を象徴する存在「キラ」として崇拝され、アメリカ合衆国にも認められるなど、世界の政治シーンに存在感を示すようになった夜神月氏、国家公務員法違反です。
「職務に専念する義務」の違反
また、国家公務員は、国家公務員法第101条で「職務に専念する義務」を課されています。
職務に専念する義務(国家公務員法第101条)
職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
しかし、夜神月氏は、勤務時間中もキラ活動に全力です。しかも、仕事中に心臓麻痺で亡くなったLの仕事も引き継ぎ、2代目Lとしての活動も勤務時間中に行っています。
2代目Lとして、アメリカ警察の指揮をとったり、アメリカ合衆国大統領から特殊部隊を借りてマフィアを襲撃したりすることが、日本の警察庁の情報通信局の情報管理課の職員の職責にあたるのかは議論の余地がありそうですが、多分、国家公務員法違反です。
職場の先輩を呼び捨てにした夜神月氏
夜神月氏は、数々の国家公務員法違反を犯しながらも、特に大きな問題もなく、着々と新世界の神へと近づいていきます。
しかし、物語の終盤、夜神月氏は、Lの後継を自称するニア氏に追いつめられ、職場の先輩の目の前で国家公務員法に違反するキラ活動を行ってしまい、激高した先輩に拳銃で撃たれてしまいます。
撃たれてあわてた夜神月氏は、つい職場の先輩である松田を呼び捨てにしてしまい、さらに隙を見てまた目の前でキラ活動をしようとした結果、再び先輩に拳銃で撃たれます。殺伐とした職場ですね。
夜神月氏は優秀すぎるがために、心の中では普段から先輩をバカにし、呼び捨てにしていました。そのような普段の思考は、窮状に陥った際についうっかり表に出てしまうものです。
夜神月氏は、作品をとおして、職場のルールと社会人のマナーが守れない人間に、将来がないことを教えてくれているのかもしれません。
DEATH NOTE 文庫版 コミック 全7巻完結セット (集英社文庫―コミック版)