会議のやり方、基本マニュアル(Web会議対応)- 無駄会議と決別

会議風景のイメージ

仕事をする上で、会議は避けては通れないものです。しかし、職場には無駄な会議が蔓延しています。

会議は、正しいやり方、進め方を知り、実践しないと、何の成果も得られない無駄な時間となってしまうことが少なくありません。社会人であれば一度は、「この会議にいったい何の意味があるのだろう…」、「無駄な会議が多くて仕事が進まない…」と思った経験があるのではないでしょうか。

そこで今回は、会議を有意義な時間にするためのやり方、進め方を、基本からわかりやすく解説できればと思います。

会議の手順まとめ

まず、会議の理想的な手順を、「事前準備編」、「会議進行編」、「事後対応編」にわけて整理してみると、以下のようになります。

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手順ごとに、詳しく見ていきたいと思います。

事前準備編

実際の会議における進め方をご紹介する前に、会議の事前準備について触れられればと思います。

会議の成否は、その事前準備がきちんとできているかに左右されると言っても過言ではありません。内容的には少し細かくなってしまいますが、重要な部分なので一つひとつお話できればと思います。

1. 目的・ゴールを明確化する

まず、その会議の目的、ゴールを明確にしましょう。

その会議で何を成し遂げたいのか、何を決定したいのか、誰と何について合意できればゴールなのか、わかりやすく明文化できる程度には固めておきましょう。

なお、会議の目的、ゴールは、以下の2パターンに分類することが可能です。

  • 参加者間で意見を出し合い、皆での合意形成を目指す「ディスカッション」タイプ
  • 自分の考えを披露し、参加者から同意を取りつけることを目指す「プレゼンテーション」タイプ

「ディスカッション」タイプであれば、参加者の意見を引き出し、取りまとめていく会議進行が重要になりますし、「プレゼンテーション」タイプであれば、参加者を納得させられるロジックを事前にどれだけ準備できるかが重要になります。

参加者には「ディスカッション」タイプの会議だと思わせておいて、意見交換の流れの中でしれっと自分が押し通したい意見を押し通していく、「ディスカッション」タイプの皮をかぶった「プレゼンテーション」タイプの会議も手法としては存在しています。

会議の目的、ゴール、そして、それが「ディスカッション」タイプなのか、「プレゼンテーション」タイプなのかが明確になれば、このあとの進行がスムーズになることでしょう。

2. 本当に会議が必要なのか今一度考える

会議の目的、ゴールが明確になったところで、一度立ち止まり、その目的、ゴールを達成するために、本当に会議を行うことが必要なのか再考することをお勧めします。

会議は、参加者を拘束して強制的に時間を消費させるものです。年収500万円くらいの社員の時給換算をだいたい2,500円と見積もった場合、4人で1時間会議を行えば、そこには1万円分の人件費がかかっていることになります。積もり積もればなかなかのコストです。会議以外の方法で事が済めば、それに越したことはありません。

例えば、それはメールやチャットで意見を収集すれば済むものではないでしょうか。上司の席までちょっと行って承諾を得れば済むものではないでしょうか。無駄な会議は可能なかぎり削減し、業務効率化を進めていきましょう。

もちろん、会議を行った方が効率的なケースもたくさんあります。再考した上で会議が必要だと判断した場合は、次の手順に進みましょう。

3. 参加者を選定する

会議の必要性を確認したところで、次は参加者の選定をしていきたいと思います。

会議は、必要最低限の人間を集めて行うのが基本です。会議に必要ではない人を招集することは、その人の時間を浪費することになってしまいます。また、参加者が多ければ多いほど意見の集約は難しくなり、会議進行にも支障が出てきます。

先に明確化した目的、ゴールを達成するためには誰が必要なのかという観点で、参加者を厳選しましょう。

マネジメント層に能力が不足しているなど、組織が未熟な場合、各員の役割が不明確で、特定の目的、ゴールを達成するのに誰を招集したらよいのかわからないケースがあります。そのような場合に、マネジメント層に参加者についてお伺いを立ててしまうと、誰も彼も参加しておいた方がよいかもと、雪だるま式に参加者が増えてしまうことがあります。

仕事のできないマネジメント層に参加者の選定を完全にゆだねることなく、会議で発言する可能性のない、情報を得るためだけの参加者は排除するなど、主催者側で主導して参加者のコントロールを行うようにしましょう。

なお、会議の議事録の作成を自分以外の誰かにお願いする場合は、この時点で打診をして参加者に加えておくようにしましょう。

4. アジェンダ・会議資料を準備する

順番的には、参加者の選定と前後しても問題ありませんが、事前準備として会議のアジェンダと資料の用意が必要となります。

アジェンダとは、会議の議題や進行予定などについてまとめたもので、参加者全員で会議の目的、ゴールの認識を合わせるために必要となるものです。

先に明確化した、会議の目的、ゴールを記載した上で、それを達成するためにどのような話をどのような順番で進めていくのかをまとめていきましょう。

アジェンダを作成する際のポイントや具体例などは、以下の記事にまとめてありますので、ご参照いただければ幸いです。

アジェンダとは? 意味と重要性と作成時のポイント、レジュメとの違い
アジェンダとは、「実施すべき計画」、「行動計画」を意味する言葉です。日本のビジネスシーンでは主に、「会議の協議事項」や「議題」という意味で用いられています。今回は、そんなアジェンダについて、その重要性から作成時のポイントまでご紹介します。

会議資料については、その会議が「ディスカッション」タイプなのか、「プレゼンテーション」タイプなのかで、用意する内容が大きく異なってきます。

「ディスカッション」タイプの会議であれば、参加者が議論を深める上で必要となる資料を用意することになります。簡単な参考情報としてアジェンダに追記する形で十分な場合もありますし、別途参考となる数値のデータを用意しておいた方がよい場合もあるでしょう。

「プレゼンテーション」タイプの会議であれば、参加者を納得させ、自身の意見への同意を勝ち取るだけの、しっかりとした資料を用意する必要があります。聞く相手にとってわかりやすいストーリーラインになっているか、ロジックに反論の余地はないか、十分に確認しながら作成していきましょう。

5. 会議招集を行う

準備が整ったら、参加者に対して会議の招集を行います。

ほとんどの場合、会議招集はスケジュール管理ツールやメールなどを通じて行うことと思います。ファイルの添付やテキストの記載が可能かと思いますので、先に作成したアジェンダと会議資料を添付するようにしましょう。

もし、アジェンダや会議資料の作成前に、参加者の会議の予定だけ先に押さえておきたい場合は、後ほどアジェンダや会議資料を送付する旨を記載して会議招集をするようにしましょう。それだけで、招集相手に「この会議は事前に情報がもらえるのだろうか…」などと無用な不安を抱かせないで済みます。

また、相手の立場に立って、当日の急な招集や前後にぎちぎちに予定が詰まっているところでの招集は避けたいものです。他にどうしても都合のよい日時がない場合は、相手にその旨を一言伝えておくだけでも、だいぶ印象がよくなるでしょう。

Web会議の場合の対応

Web会議を開催する際は、対面での実施とは異なり、会議招集時にWeb会議へのアクセス方法の告知が必要となります。

Zoom、Teams、Skype、Webex等、Web会議ツールは様々ありますので、参加者が利用可能なツールを把握した上で、参加に必要なURLやID、パスワードなどを忘れずに共有するようにしましょう。

もし、そのWeb会議ツールの利用が初めての場合、事前に時間をとって接続テストをしておくことをお勧めします。初めて使うツールは使い勝手がわからず、思いどおりにいかないものです。最悪、会議が時間どおりに始められないことにもつながりかねないので注意が必要です。

6. 会議進行のシミュレートをする

ここまでできれば、事前準備としては十分だと言えるでしょう。しかし、会議本番では想定外のことが起こるものです。会議本番に向けて、一度、頭の中でよいので、会議進行のシミュレートをしておくことをお勧めします。

中でも見落としがちなのが、出だしのトークです。会議主催者として、会議の目的、ゴールを端的に説明し、他の参加者たちのスムーズな発言開始につなげられるようなオープニングトークを頭の中で練習しておきましょう。

会議進行編

いよいよ会議の本番です。事前準備も重要ですが、当然、本番をどのように進行するのかが肝心要な部分です。

議題を守らず、横道にそれる上司、積極的に発言しようとしない参加者たち、会議の本番はスムーズに行かないことばかりです。そのような中で、会議を無駄な時間にしないために我々ができることとは何でしょうか。

1. 目的・ゴールを共有する

まず、会議の冒頭で、その会議の目的、ゴールを宣言し、参加者全員で何のためにその場に集まっているのか、認識を合わせるようにしましょう。

初めに認識を合わせておくことで、以下の効果が見込まれます。

  • 話が横道にそれにくくなる
  • もし話が横道にそれた際に、指摘しやすくなる

目的、ゴールは、アジェンダで事前に伝えているはずではありますが、なぜか確認をせずに会議に参加する人は後をたちません。一番重要なことですので、改めて皆と確認するようにしましょう。

2. 役割・進行ルールを共有する

次に、参加者の役割と会議の進行ルールについて、参加者全員で認識を合わせておきましょう。

ここで言う「役割」とは、その会議で参加者たちに期待することを意味します。「この内容について、各々の立場から意見がほしい」、「この内容に問題がないか、確認してほしい」など、具体的にしてほしい発言内容を伝えることで、参加者たちも発言しやすくなります。

「進行ルール」については、スムーズな会議進行のために守ってほしいルールを最初に共有しておき、会議中にルール違反があった際にはきちんと是正するようにしましょう。

具体的な進行ルールとしては、以下のものがお勧めですが、その会議の目的、ゴールに合わせて、適宜設定するようにしましょう。

  • 議論を進める中で新たに発生した課題は会議内で解決しようとせず、宿題事項として別途切り出す
  • 議題から外れた議論は進めずに、必要に応じて別途会議を設ける

発言する際は話を端的にまとめる、他の人の発言をさえぎらない、他の人の発言を頭ごなしに否定しないなど、社会人として当たり前の事柄については、新人やパワハラ気質の人がいるときに伝えるようにしましょう。

3. 会議を進行する

前提の認識合わせが終わったら、さっそく会議を進行していきましょう。

事前に用意したアジェンダと定めた進行ルールに従って進行し、話が議題からそれて行きそうなときに適宜軌道修正を行えば、大きな問題は起こらないでしょう。

しかし、よりスムーズな会議にしていくために、対面の会議であれば、ホワイトボードを用いて会議の見える化を行っていくことをお勧めします。

ホワイトボードを使った会議の見える化は、慣れないとなかなか難しいものがありますが、まずは出た意見を箇条書きで書いていくことから始め、慣れてきたら意見の関係性を矢印を用いて示すなど、図式化に挑戦していくとよいでしょう。

Web会議の場合の対応

Web会議における進行のポイントは2つです。

1つ目のポイントは、画面共有による会議の見える化です。

基本的に、Web会議ツールには画面共有機能が備わっています。その機能を使って、常に現在話している内容に即した資料を画面共有するようにしましょう。

また、多くのWeb会議ツールには、ホワイトボードのように使える、リアルタイムで文字や図を書いて共有できる機能も備わっていますので、議論内容の見える化に活用するとよいでしょう。Web会議ツール付属の機能が使いにくい場合は、PowerPointやGoogleスライドの画面を共有して、ホワイトボード代わりに使うのもお勧めです。

2つ目のポイントは、参加者への意識的なパス回しです。

対面の会議と比べ、Web会議は他の参加者の様子がわかりにくく、発言のタイミングがつかみにくいものです。結果として、Web会議は対面の会議よりも、議論が活発化しにくい傾向にあります。

Web会議では対面の会議以上に、「〇〇さんはどうですか?」、「〇〇さんはどう思いますか?」など、つど各参加者に発言を促しながら議論を進めていくとよいでしょう。

4. 総括して宿題事項を確認する

会議の残り時間が少なくなってきたら、いったん議論を終了させ、そこまでで話すことのできた内容について総括するようにしましょう。

そして、話しきれなかった議題があればもう一度会議を開催するのか、メール等での確認で済ませるのかを確認し、いつまでにその連絡をするか約束をしましょう。会議の中で新しく課題が発生し、対応する必要がある場合は、宿題事項として、誰が、いつまでに対応するのかをはっきりと決めておきましょう。

会議ごとに様々な目的、ゴールがあるものですが、実施される会議の多くが「誰が、いつまでに、何をやるのか」を決めるために行っていると言っても過言ではありません。

しかし、仕事を増やしたくない、責任を負いたくないという心理から、その「誰が、いつまでに、何をやるのか」をうやむやにしたまま終わる会議が後をたちません。

いくら参加者に嫌な顔をされようとも、後々困ることになるので、はっきりさせるべきことははっきりさせてから、会議を終えるようにしましょう。

事後対応編

会議が終わった後も、行うべき事後の対応があります。事後対応を誤ると、場合によっては面倒事が発生しますので、最後までしっかりと行うようにしましょう。

参加者に議事録を共有する

事後対応で最も大切なのが、会議の議事録の作成と共有です。

共有した議事録を参加者全員で確認し、修正が必要な部分を修正し、会議で話した内容として間違いがない旨の合意をします。

こうした手順を踏むことにより、後から上司などに「会議のときに〇〇と言っただろう!」と覚えのないことを言われる「言った言わない問題」の発生を防止することができます。

組織という複数人で仕事を進めている状況下では、「言った言わない問題」が発生しがちです。どんな場面でも証跡を残すように心がけましょう。

議事録には、合意事項や宿題事項といった要点だけを記載したものから、参加者の発言をすべて書きつらねたものまで、様々な形式があります。その会議が、どこまで細かく証跡を残せば、「言った言わない問題」が発生しなくなりそうか、自分の身の安全を確保できそうかをイメージして形式を決めるとよいでしょう。

詳細な議事録を作成する場合は、議事録作成のための人員をアサインしておく必要があります。事前準備編でも触れましたが、忘れずに同僚や部下にお願いしておくようにしましょう。

自分の中で振り返りをする

会議のやり方、進め方としては以上となります。しかし、百点満点の会議進行など、できるものではありません。必ず、何かしらかの反省点はあるものです。

議事録の共有まで一通り終わったところで、自分の中でその会議について振り返りをしてみることをお勧めします。

「ここはもう少しこうした方がわかりやすかったかな…」、「もっとこうした方が議論が活発になったかな…」、「あの人は一回も発言しなかったし、次回から呼ばなくてもいいかな…」など、次回以降の会議に生かせる事柄があるかもしれません。

ぜひ、会議を有益な場にしていっていただければ幸いです。