紀伊國屋書店への就職/転職はアリ? 元社員による本音レビュー

本レビューは、元社員による寄稿を、公益の観点からネガティブな内容も含め掲載しています。レビュー内容は一個人の見解であり、当該企業がブラック企業かを断定するものではありません。

腕を組むビジネスパーソン

私は以前、紀伊國屋書店という本屋で正社員として働いていました。

もともと本には興味があって、読書が趣味ということもあり、就職するなら出版業界か書店業界、と決めていました。いくつかの書店を訪問した結果、最も魅力的と感じられた紀伊國屋書店に就職したわけです。

実際に就職しますと、イメージ通りのこともあれば、全く違っていたこともありました。7年間勤めましたが、実に色んなことがあり、その経験が今後の社会人生活に活かされています。

株式会社紀伊國屋書店」の基本情報

英文社名 KINOKUNIYA COMPANY, LTD.
本社住所 東京都目黒区下目黒三丁目7番10号
創業年日 1946年1月16日
資本金額 3,600万円
上場市場 非上場
従業員数 約4,000名(2021年4月1日時点)

とにかく肉体労働です

書店での仕事というと、レジ打ちや品出し、といったものが想像されますが、それ以外にも様々な仕事があります。

まずは注文した本の検品作業です。出版社や取次から書店へ届けられた数多くの段ボール箱を検品室へ運び込みを行ない、そこで開梱して段ボールから1冊ずつ本を取り出して注文通りの本が届けられているかどうかを確認します。何十冊の本が入った段ボール箱は非常に重たいことは言うまでもありません。それが毎日何箱も届けられるので、その度に台車を使って検品室まで運び込みます。

検品作業が終われば店頭出しする本とストックする本とに仕分けをすると言う作業です。仕分けが済んだら、店頭出しの本は店まで台車を使って運び、在庫分は倉庫へ運び込み、というこれまた肉体労働です。営業時間が終了したらその日に売れた商品の補充や注文作業が待っています。とにかく、1日のほとんどが荷物運びという仕事内容で、日々体力が求められます。体力消耗で疲れて休んでいると上司から厳しい叱責を受けるなど、若干ハラスメントまがいなこともありますので、そうしたことにも耐える精神力も必要です。

残業については、平日は比較的少なく、土日祝日と言った休日においては多くあります。平日はお客さんも少ないため、営業時間終了後の商品補充や注文業務も少なく定時に帰ることが可能です。しかし、休日になるとお客さんが非常に多く、そのため営業時間終了後における商品補充や注文業務も多くあり、残業も発生することとなります。特に年度末や年度初めにおいては参考書を中心に多くの人が購入しますので、その商品補充や注文業務がかなりあり、残業時間も長くなります。ただ、残業代についてはきちんと支払われていましたので、その点はブラック企業レベルではありませんでした。

仕事がハードな割には給与はイマイチ

給与については社内規定により支給されますが、正直、ハードな仕事内容の割には給与は安いです。別の業界で働いている同じ年の友人と給与を比べることが時々あるのですが、だいたい私の給与額のほうが少ないです。もちろん、年収面においても多くありません。近年はインターネットが進み、本を購入しなくてもネットから情報が入手できること、また、特に若年層の読書離れが進んでいて、本屋を訪れる人は少ないです。したがって、書店はどこも厳しい経営を強いられているという状況で、紀伊國屋書店でも同様の傾向となっています。

このような状況下ですので、他の業界に比べて給与額が少ないのは仕方がない面もありますが、給与がこのままでは優秀な人材は集まらず、業界として成長を遂げるのは難しいと思っています。私ももう少し長く勤めたかったのですが、仕事内容のレベルと給与額とのギャップに耐えきれずに、7年目で辞めてしまいました。

職場の雰囲気は良好です

先輩たちは親切・丁寧だったのは良かった点です。就職して間もないことろは、仕事のやり方について非常に丁寧に指導してくれましたし、お客さんからのクレームで悩んでいたら、親身になって相談に乗ってくれて無事に解決でき、助けられたことが何度もありました。仕事が終わったら先輩たちと一緒に飲みに行ったり、カラオケをしたりするなど、仲間意識は強かったです。逆に言えば、それがなければすぐに辞めていたのかもしれません。仲間と一緒に過ごすことができたことがストレスの発散となっていました。

上司については非常に厳しく、採用当初は何度も怒られることもありました。私のみならず、他の社員やアルバイトに対しても厳しかったです。このため、私が在勤中においても何人かの人は辞めていきました。たしかに店長は非常に厳しい人でしたが、仕事に対する情熱は誰にも負けていなかったのが私の印象です。どの本が売れそうで、どの本が売れそうでないかについてデータをしっかり分析し、お客さんの求める品揃えを常に心掛けていました。お客さんとのトラブルで社員では解決できなかったら率先して対応してくれましたし、何よりも、一生懸命頑張る社員に対しては、それなりにきちんと評価してくれましたので、私は上司に対してはそれほど反感は持っていません。むしろ、色々と勉強させてもらったという意味で感謝しているくらいです。

書店で働くためには、それなりの覚悟が必要

紀伊國屋書店のブラック企業レベルは、5段階評価中の4です。

【参考】ブラック企業レベルとその目安

  • 5…すべての人にお勧めできません。
  • 4…過酷な労働を愛する人以外にはお勧めできません。
  • 3…強いストレスへの耐性がない人にはお勧めできません。
  • 2…他人よりもストレスに弱い人にはお勧めできません。
  • 1…少しブラックなところもある一般的な会社です。

書店における仕事はレジ打ちや品出しだけだと思っている人にはおすすめできません。書店における仕事には実に様々なものがあり、しかも多くの場合、肉体労働を伴います。また、給与については業界を取り巻く厳しい環境を考慮すると、正直、あまり期待できません。おまけにハラスメントまがいなことにも耐える必要がありますので、評価を4としました。