インターンシップ(internship)とは、会社が就職希望者に対して提供している、短期間の就労体験制度を意味します。新卒の就職活動においては、一般的な行事となっています。
internは「見習い・実習生」と言う意味もある言葉で、shipは状態や性質を表す接尾辞です。
イメージとしては、医学生が医師になるまでに実地研修で経験を積む、インターン制度の一般企業版と考えて良いでしょう。学生の間に社会の現実を体感できるのがインターンシップの特徴で、就職希望者はもちろん、企業側にも多彩なメリットがあります。
企業ごとに多種多様なプログラムを用意しており、中には就業体験とは言えない、単なる会社説明とグループワークだけのイベントと化しているものもあります。
現代社会の就活生とビジネスパーソンには欠かせない存在なので、ぜひ、この機会に詳しくチェックしておきましょう。
目次
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インターンシップの目的とメリット
インターンシップは、学生と企業の橋渡しとなる存在であり、学生の多くが利用することから、就職活動において重要な役割を担ってきました。
ここで気になるのが、学生や企業は、どのような目的でインターンシップを活用していて、双方にどのようなメリットがあるのかと言う点です。
職場での体験を通して会社の雰囲気を知る以外にも、様々な目的とメリットがあるのでご紹介します。
学生側の目的・メリット
学生がインターンシップに参加する場合、主に以下のような目的とメリットがあります。
- 実際の職場の体験
- 面接試験に進んだときのための話題作り
- 社会に出たときの自分の力の把握
- 仕事に必要なスキルの把握
- 人間関係の勉強
まず、実際に職場を体験することには、大きな意味があります。興味はあるものの業務内容がイメージできない仕事を経験したり、先輩社員の働く姿を見て、どこにやりがいや面白さがあるのかを確認したりと、得られるメリットは多彩です。
また、インターンシップの体験があれば、面接試験での説得力が増すことでしょう。業界を選んだ理由などを、説明しやすくなります。
自己分析に役立つのも魅力です。社員や他の就活生と混ざって仕事をすることから、自分にできることや足りないものが浮き彫りになります。もちろん、どのようなスキルや資格があれば、役に立つのかも把握できることでしょう。
同時に、企業で色々な人と接することで、会社組織におけるコミュニケーションを体験できます。敬語やビジネスマナーを含め、人間関係の勉強に役立つはずです。
企業側の目的・メリット
一方で、企業がインターンシップを開催する目的とメリットは以下のとおりです。
- 自社にマッチする学生の理解
- 若者を社内に取り入れることによる社員の活性化
- 若手社員の管理能力やリーダーとしての資質の育成
- 社会への貢献や企業のイメージアップ
企業は、インターンシップを通して、採用すべき学生の具体的なイメージを把握することができるのがメリットです。様々な個性や人格を持った学生と実際の仕事を通じて触れ合うことで、積極的に採用したい学生像を掘り下げられます。
また、フレッシュな人材が社内に存在することは、指導する側の先輩社員にも刺激となることでしょう。若手社員に学生を指導する役割を与えることは、リーダーや人材マネジメントの経験を積ませる意味でも有用です。
他には、受け入れた学生が自社に就職するか否かに関わらず、インターンシップを通して学生を育てるという、社会貢献活動の一環として考えることもできます。
人材育成は社会にとって大切なテーマです。学生に進んで成長の機会を提供する企業は、若者の自立を促し、地域社会の活性化に貢献できます。
もちろん、このような活動は企業のイメージアップにも繋がるでしょう。若い人材、地域を大切にする姿勢に対して、好感を覚える消費者も少なくないはずです。
インターンシップの実施方法
企業によって様々な形で、インターンシップの機会が用意されています。実際の現場に近い体験ができるプログラムもあれば、単なる説明会に近いものもあり、内容は千差万別と言えるでしょう。
基本的には、以下のような3つの種類にわかれますので、開催する側も参加する側も自身に好ましい方法を検討しましょう。
- 企業説明を中心としたセミナータイプ
- ワークショップタイプ
- 実務タイプ
まず、セミナータイプは、会社説明会に若干の職場体験プログラムを追加したような形で行います。内容は会社説明がメインで、他には現場の見学や先輩社員への質問会などが用意されるケースが主です。
次に、ワークショップタイプは、先輩社員に混ざってプロジェクトに参加し、課題の克服に取り組んだり、意見交換したりするのが特徴となっています。この形式を採用する企業は多く、学生の人気も高めとなっており、ポピュラーなタイプだと言えるでしょう。
実務タイプは、非正規社員として実際に雇用され、賃金が発生するのが特徴となっています。就職前に、実務を経験できるのは大きな魅力だと言えるでしょう。時期を問わずに学生を受け入れやすいため、年間を通して募集している企業は珍しくはありません。
基本的に実務タイプ以外は短期間の募集が多くなっています。特にセミナータイプは1Day型と呼ばれる、手軽な体験プランが人気を博しています。
ワークショップタイプは数日から一か月くらいが目安、学生の長期休暇を活用しているケースも多く見られます。
実務型は数か月にわたって行われるのが基本と言えます。加えて、大学1・2年生を受け入れるケースも目立ちます。
インターンシップの注意点
最後に、インターンシップの注意点を学生、企業のそれぞれの視点でご紹介します。
学生側の注意点
学生としては、インターンシップの参加前にきちんとした計画を立てることが重要です。
特に短期タイプの場合は深く考えずに参加すると、何もできないまま時間が過ぎてしまい、収穫が得られない可能性があります。
そのため、参加する目的を明確にするのと同時に、やるべきことをリストアップしておくことをお勧めします。質問したい内容は、前もっていくつか用意していくのが基本です。他にも、当日にどのようなアクションをとるのかを具体的に検討しておくとよいでしょう。
企業側の注意点
2010年以降、社内通念上、問題があるとされる形でインターンシップ制度を活用する企業が目立つようになりました。現在は監視の目が光っているので、不正を働くとメディアで取り上げられる他、SNSで情報が拡散される恐れがあります。
特に問題となったのが、学生に無給で他の社員と同様の労働をさせたケースです。職場体験と言う枠組みを悪用して、対価なしに労働させるのは、社会道徳に反する行為だと言えます。
また、就職活動開始前に内定を出したり、学生に圧力をかけて入社を促したりする、いわゆる「囲い込み」を行う企業も批判の対象となってきました。
インターンシップを実施する際にはルールを確認するのはもちろん、過去の事例も参照して、会社の評判を落とすことにつながらないように気をつける必要があります。