どの会社においても、不倫カップルはいるものです。表沙汰になっているものはごく一部、いったいどれだけの人間が社内で不倫をしているのか見当もつきません。
しかし、一般的には、不倫はしてはいけないもの、既婚者はパートナー以外と恋愛をしてはいけないものとされています。なぜ、そのような建前と異なり、現実では社内不倫が当たり前のように行われているのでしょうか。そこには、人間の男女の特性と、会社特有の環境があいまった理由が存在しています。
今回は、会社内で不倫が横行する理由と、そのリスクについて、考えていきたいと思います。
既婚男性社員は不倫がしたい
前提として、人類の生存戦略上存在している、子孫をなるべく多く残したい、生殖機会を増やしたいという本能、欲求は否定することはできません。それは、未婚であろうが既婚であろうが変わることはなく、結婚した途端にパートナー以外に対する性的な関心がきれいになくなるなどという都合の良いことはありません。
不倫など考えたこともないと主張する誠実な人物というのは、非道徳的とされる内面を表に出さない賢さを持っているか、子孫を残す本能が欠如しているかの2パターンです。不倫をしない人は、機会がないか、デメリットを考慮して自己を抑制できているかの2パターンです。
ただし、男性と女性では、結婚後の、パートナー以外に対する性的な関心について、大きな違いが存在しています。
男性のパートナー以外に対する性的な関心の傾向
男性は、特定のパートナーができても、本能は常に新しいパートナーを求めてしまう傾向にあります。それは、より効率的に多くの子孫を残そうという本能と、より多様性のある遺伝子を残そうという本能によるものです。
さらに、より多様性のある遺伝子を残そうという本能は、特定のパートナーへの恋愛感情を一定期間で打ち切る作用も働かせると言われています。
効率を求めるそれらの本能は、自身の年齢にかかわらず、妊娠に適した若い異性を求める傾向へもつながっています。
その一方で、自身の子孫を確実に残すために、現在のパートナーを他の男性に取られぬように束縛する傾向にあります。行動原理からして自分勝手なのです。
女性のパートナー以外に対する性的な関心の傾向
女性は、自身の体で妊娠し、子を産む必要があるため、一人でそう多くの子孫を残すことができません。そのため、男性とは異なり、数ではなく質を重視した戦略をとります。多くの対象にとりあえず発情する男性とは異なり、女性はパートナーを決める段階で、質を踏まえて選定する傾向にあります。
さらに、特定のパートナーができた場合、妊娠期間中、無防備になってしまう自身を守らせるために、そのパートナーを手放さないように束縛する傾向にあります。
現在のパートナーの選定が間違っていたとの結論に至らないかぎり、男性よりは一度決めたパートナー以外に性的な関心を持ちにくいと言えるでしょう。
この男性と女性の傾向の違いが、浮気をしようとする男性と、させまいとする女性の、よく耳にする攻防の原因となっています。
社内で生じる不倫についても、ほとんどの場合が、既婚男性社員が女性社員にアプローチすることから始まります。
会社という閉鎖環境が不倫を助長する
不倫は、以下の条件が満たされたとき、その発生確率が増大します。
- 現在のパートナー以外に好意を持つ相手ができる
- 現在のパートナーにバレないと思う
- 現在のパートナーへの罪悪感が薄れる
会社という閉鎖環境は、それら3つの条件を整えてくれる空間となっています。
人間は、ザイオンス効果(単純接触効果)と呼ばれる、接触する回数が増えれば増えるほど、その相手に対して好印象を持つようになる傾向があると言われています。会社は、少ない休日を除けば、起きている時間の半分かそれ以上を過ごす場所です。下手をすると、家族よりも、同僚と顔を合わせ、会話をしている時間の方が長いのではないでしょうか。会社内に好きな人ができない方が不自然な状況に置かれていると言えます。
また、会社は、家庭から切り離された空間であり、閉鎖された一つの社会です。現在のパートナーを容易に忘れることができ、裏切ることへの罪悪感は薄れ、何をしてもバレないのではないかという勘違いの温床となってしまっています。
まれに、同じ会社内にパートナーがいるにもかかわらず、社内不倫を決行する人間もいます。自制心が全く働かないほど本能が強いか、スリルや罪悪感を逆に楽しんでしまう例外タイプだと言えるでしょう。
新卒女性社員は既婚男性社員の餌食になりやすい
そのような不倫の温床に、さらに、既婚男性社員の餌食になりやすい新卒の女性社員が毎年のように入社してきます。
入社したばかりの新卒の女性社員にとって会社は、右も左もわからない未知の領域です。
普通に働いているだけの先輩社員であっても、頼りがいがあるように見え、ときには素敵な異性に見えてしまうこともあるでしょう。待ち構える先輩社員たちからすれば、意図的にそのように勘違いさせるのも容易なことです。
ただ単に、その環境に少しばかり長くいて、慣れているだけのアドバンテージで、頼る相手のいない新卒社員の弱みにつけこみ、既婚男性社員たちは今日も不倫アプローチに勤しみます。
社内不倫のリスク
相手の仕事ぶりや肩書きが素敵なものであっても、既婚者と恋愛関係になることは、大きなリスクがあることを忘れてはいけません。
主なリスクとしては、以下のものが挙げられます。
- 相手のパートナーから慰謝料を請求される
- 退職に追い込まれる
もし、相手のパートナーにバレた場合、民事訴訟などで慰謝料を請求され、数百万円の支払いを余儀なくされる可能性があります。
また、解雇にまで至るケースはあまりありませんが、職場に居づらくなり、自主退職に追い込まれるケースは数多くあります。
最終的に不倫相手と結婚することになった場合も、そもそも不倫を実行してしまうような人間が、その先、幸せな家庭が築けるのか甚だ疑問です。
社内不倫は、人生を崩壊させる可能性に満ち溢れています。
人は本能に勝てないのか
常日頃は論理的な判断を行える人間であっても、本能がかかわると、正常な判断ができなくなるのが現実です。
それでも、ほとんどの人は、不倫などに手を出さずに生きています。日頃から、失うものの大きさを意識し、後ろめたいことは全てバレると考え、短期利益よりも長期利益の視点で過ごすことが、何より大切だと言えるでしょう。