リテラシーとは、英語の「literacy」をそのまま用いたカタカナ語です。日本語に翻訳すると「読み書きができる能力」という意味になります。
もともとは、読み書きの能力だけに限定して使用されていましたが、現代ではより幅広い意味で使用されるようになりました。特定の専門分野に関し多くの知識を持っていることも、リテラシーと言われるようになっています。知識だけでなく、専門的な能力を持っているという意味で使われることもある言葉です。
今回は、そんなリテラシーについて、実際の活用例や、類似する語句との違いを詳しくご紹介したいと思います。
リテラシーの使い方
リテラシーは、現代社会において、幅広い場面で使用されています。中でもビジネスシーンにおいては、日常的に使われている言葉だと言えるでしょう。例えば、「彼は販売業務に関するリテラシーが高い」などのように使われています。この場合のリテラシーが高いとは、「専門分野に関する知識を豊富に持っている」ということを意味します。リテラシーが高い社員ならば、安心して仕事を任せることができるので、企業では自社でおこなっている事業に関してリテラシーが高い社員が求められています。
「リテラシーが高い」と反対の意味で使用されるのが、「リテラシーが低い」という表現です。リテラシーは高低で程度をあらわすのが一般的な使い方で、業務に関する専門的な知識を持っていない社員などは、リテラシーが低いと言われることもあります。「リテラシーが欠けている」という用法で使用されることもあり、「低い」よりもさらに程度が低い場合などに使用されます。
リテラシーの種類
ビジネスで使用されているリテラシーという言葉は、さまざまな種類があります。特に有名なのが「情報リテラシー」という用語です。これは、情報を処理したり、分析する能力が優れていることを意味している言葉です。情報を発信する能力が優れているという意味で、使用されることもあります。
「コンピュータリテラシー」も、ビジネスの世界で使われることが多い用語です。これは、コンピューターを使用して仕事をする能力が優れていることを意味する言葉です。同じような意味を持つ言葉としては、「ITリテラシー」や「ICTリテラシー」、「デジタルリテラシー」があげられます。コンピューターを使用して、必要とする情報を的確に入手できる能力という意味で、使用されることもあります。
「ネットリテラシー」という言葉がビジネスシーンで使用されることもありますが、これはインターネットを効率的に使用できる能力のことです。インターネットで収集できる情報の中から正しい情報を選び出し、ビジネスのために効果的に役立てることができる人が、ネットリテラシーの高い人と言われています。
ビジネスの世界では「メディアリテラシー」という用語が使用されることもあります。これは、メディアから発信される情報を正しく分析できる能力のことです。この場合のメディアとはテレビや新聞からWebサイトまで、各種の情報が掲載されている幅広い媒体のことを意味しています。手に入れる多くの情報を比較検討して、正しく分析評価できる人がメディアリテラシーの高い人です。
「ファイナンシャルリテラシー」もビジネスシーンで使われることがある用語です。金融に関する知識を豊富に持っているという意味があります。日本語では「金融リテラシー」と言われることも多い用語です。知識を持っているだけでなく、金融に関係する仕事を適切に処理できる能力も含めて、金融リテラシーと言われることが多いです。
「環境リテラシー」という用語も、ビジネスの世界で広く注目されるようになっています。環境リテラシーは、環境問題に関して専門的な知識や能力を持っているという意味の言葉です。最近では、環境問題に強い関心を持つことも一流企業の条件とされるようになっていることから、多くの企業で環境リテラシーを持つ社員の育成に努めています。
また、ビジネスにおいて、業務上、必要とされる基礎的な知識や能力を幅広く意味する言葉として「ビジネスリテラシー」という用語が使われることもあります。具体的には、論理的思考能力、コミュニケーションスキル、対人スキルなどが挙げられます。
コンピテンシーとの違い
リテラシーと類似した意味を持つ言葉としたあげられるのが「コンピテンシー」です。コンピテンシーは英語の「competency」をカタカナになおした言葉で、日本語に翻訳すると「能力」という意味になります。
リテラシーとコンピテンシーは似たような意味を持つ言葉として混同されることもありますが、厳密にはこの2つの言葉はそれぞれ違った意味を持っています。
ビジネスの世界で使用されているコンピテンシーという言葉には、担当する業務において優秀な成績を残している人に共通している特質という意味があります。これは、ビジネスの世界においては多くの知識や経験を多く持っている人が、必ずしも成功しているとは限らない事実に注目して研究されたものです。
ビジネスの世界で成功するためには、知識や経験とともに、特定の行動パターンや思考パターンが必要になると考えられていて、こうした成功者に共通している特性のことを、コンピテンシーと呼んでいます。
リテラシーとの大きな違いは、業務に関する専門的な知識や技術以外のことも、内容に含まれていることです。コンピテンシーの重要な要素の一つとして考えられているのが、適切な対人関係を維持することができるコミュニケーション能力です。リーダーシップをとれる能力が高いことも、重要なコンピテンシーの一つとしてあげられることがあります。