モラハラ(モラルハラスメント)とは? 意味と職場での具体例と対処法

モラハラとは、道徳的、倫理的に問題のある嫌がらせやいじめなどの、相手に精神的な苦痛を与える行為を意味します。定義上は、肉体的な暴力は含まれません。

フランスの精神科医であるマリー=フランス・イルゴイエンヌが1998年に出版した著書の中で提唱した概念で、元のフランス語では「harcèlement moral」と表現されています。

harcèlement moralを英語に直訳すると、「道徳上の」や「倫理的な」を意味する「モラル(moral)」と「嫌がらせ」と意味する「ハラスメント(harassment)」を組み合わせた「モラルハラスメント(moral harassment)」となるため、日本ではそちらが使われるようになりました。省略することで「モラハラ」となります。

ただし、英語圏では、moral harassmentよりも「mobbing」や「workplace bullying(職場でのいじめ)」などと表現するのが一般的です。

近しい概念の言葉として、「パワーハラスメント(パワハラ)」があります。

今回は、モラハラの職場での具体例やパワハラとの違い、被害を受けた際の対処法などについてご紹介します。

モラハラの職場での具体例

モラハラの職場での具体例としては以下のようなものがあります。

  • 無視をする。
  • 馬鹿にする。
  • 嫌味を言う。
  • 悪口を言う。
  • 退職を促す。
  • 物を隠す。
  • 悪い噂を流す。
  • 仲間外れにする。
  • 身体的特徴をからかう。
  • あだ名をつけてからかう。
  • 正当な理由なく発言を否定する。
  • 業務に協力しない。
  • ミスをあげつらう。
  • 必要な連絡を行わない。
  • 大勢の前で叱る。
  • 仕事を与えない。
  • 実力に見合わない仕事しか与えない。
  • 業務時間外に連絡を繰り返す。
  • 正当な理由なく休暇を許可しない。
  • 物に当たるなど威圧的な態度をとる。
  • 業務上の適正な範囲を超えた指導を行う。
  • プライベートに過度に干渉する。

これらの行為に限らず、職場でのいじめの多くがモラハラに当てはまります。

加害者は上司だけではなく、同僚や後輩であることもめずらしくありません。

子どものいじめと大差がない幼稚なものが多く目につきますが、事実として職場で繰り広げられているものばかりです。残念ながら、大人は大きくなった子どもに過ぎません。

なお、加害側に悪意があろうがなかろうが関係ありません。正当な理由なく他者に精神的苦痛を与える行為は、モラハラに該当します。

モラハラとパワハラの違い

モラハラとパワハラの概念はかなり近しいものです。同一視される場面も多くありますが、その違いを見ていきたいと思います。

パワハラの定義は以下のとおりです。

パワーハラスメント(パワハラ)とは

職場において、職務上の地位や権力、人間関係上の優位性を背景として、業務上の適正な範囲を超えて、相手に精神的、身体的苦痛を与える行為、または、そのような行為を通じて、職場環境の悪化をまねくことを指します。

モラハラとパワハラは、以下の部分で異なっています。

  • パワハラは「職務上の地位や権力、人間関係上の優位性を背景としたもの」だが、モラハラはその限りではない。
  • パワハラは「精神的、身体的苦痛を与える行為」だが、モラハラは「精神的苦痛を与える行為のみ」を指す。

しかし、他者から理不尽に苦痛を与えられるという点では一致しており、もし職場で発生した場合には、企業が責任を持って職場環境の改善に向けて努力をする義務があります。

職場でモラハラを受けた場合の対処法

実際に職場でモラハラを受けてしまった場合の対処法の例をいくつかご紹介します。状況にあわせて、ご参考にしていただければ幸いです。

今回ご紹介する対処法は以下のとおりです。

  1. 加害者と距離を置く
  2. 上司に相談をする
  3. 社内の相談窓口に相談をする
  4. 社外の相談窓口に相談をする

それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。

1. 加害者と距離を置く

まずは、可能な限り、加害者と距離を置くことをお勧めします。まれに、それだけで解決する場合もあります。

特に、加害者側に加害意識がなく、普通のコミュニケーションを取っているだけのつもりである場合などに有効です。

仮に相手に加害意識があった場合にも、そのようなことを行う人物に改心を期待するのは賢い選択とは言えず、ファーストアクションとして距離を置くことを試みるのは悪い選択ではないと言えるでしょう。

対話で問題が解決できるのならばそれは理想的ですが、モラハラが発生してしまっている時点で、当事者同士の対話で解決する段階は過ぎてしまっている場合がほとんどです。

2. 上司に相談をする

積極的に問題の解決に努める必要がある場合には、会社の責任ある立場の人間に相談することをお勧めします。

会社には、パワハラ防止法を始めとして、各種ハラスメントを防止し、良好な職場環境の維持に努める義務があります。無理に一人で解決しようとせずに、会社にその責任を果たしてもらいましょう。

形式上、まず最初に相談すべき相手は直属の上司となります。

ただし、多くの場合、上司は役に立ちませんし、むしろ加害者側であることもめずらしくありません。上司に解決してもらうことにはあまり固執せず、ダメだと思ったら早々に見切りをつけ、次の手に移りましょう。

3. 社内の相談窓口に相談をする

パワハラ防止法によって、企業にはハラスメントの相談窓口の設置が義務づけられました。

まともな会社であれば、実態をともなった形で設置され、その存在が社員にも告知されていることと思います。

相談内容を加害者側に告げ口するようなコンプライアンスに問題のある会社があるのも事実ですが、会社がそのようなブラック企業体質だったりしない限りは、一度相談してみることをお勧めします。

会社のコンプライアンスに明らかに問題があり、相談窓口すら信用ができない場合には、社外に助けを求めることや転職を検討することをお勧めします。

4. 社外の相談窓口に相談をする

社外にも様々な相談窓口が存在しています。

行政においては、例えば、厚生労働省が「厚生労働省委託事業ハラスメント悩み相談室」というWebサイトで情報提供を行っています。

また、弁護士に相談するのも一つの方法です。被害をともなうハラスメントは、何かしらかの法律に抵触していることもめずらしくありません。法律のプロと、問題の解決や、加害者への報復を検討してみてはいかがでしょうか。

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