マーケティング(marketing)とは、「顧客のニーズを正確に引き出し、商品・サービスの魅力を高め、効率的に販売・提供する仕組みを作ること」と説明できます。
手法としては、市場調査や広告などがイメージしやすいでしょう。これらの手段をはじめ、販売促進に繋がる企業活動を広く含むのがマーケティングという概念となります。
マーケティングのビジネスシーンにおける重要性は増し続けている状況であり、企業や取引先からの信頼を得るためにはマーケティングについての正確な理解と一定の知識が欠かせません。
そこで、この記事ではマーケティングの基礎知識や種類などをわかりやすくご紹介しています。ビジネスパーソンや就職活動中の方は、ぜひ、ご参考にしていただければ幸いです。
目次
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マーケティングの意味と肝心なポイント
「マーケティングとは何か」と質問をすると、人によって様々な答えが返ってくることでしょう。この言葉自体には明確な定義はなく、「営業戦略のことだ」と考える人もいれば、「商品を売るテクニック」と捉えている人もいるかもしれません。
経済学者によっても見解は様々ですが、特にドラッカー氏の「販売を不要にすること」と言う定義は、その本質を端的に言い表していると考えられます。彼は、マーケティングを成功させれば、商品は勝手に売れる、と主張しているわけです。
営業マンや販売員を使って、顧客に「買ってください」と働きかけるのが販売と言えます。この考え方によれば、商品を「売る(販売)」ことが不要になり、顧客が望んで「買ってくれる」ような仕組みを作ることが、マーケティングの要だと言えるでしょう。
なぜマーケティングが重要と言われるのか
現代社会において、マーケティングの重要性が増し続けています。顧客や市場のニーズを分析し、効果的な戦略を用意できなければ、利益が期待できなくなっているのです。その理由は様々ですが、日本の市場に注目すると、主要なものとして以下の3つが考えられます。
- 節約意識の高まり
- 人口減少
- 価値観の多様化
まず、収入が増えにくい状態が続き、老後などの不安要素も多いため、節約を意識している方が珍しくないことが挙げられます。そのため、高度経済成長期やバブルの時代と違い、良い物を作るだけでは思うように売れなくなってしまっているのです。
加えて、人口も減少しているため、企業では顧客を取り逃がさないための努力が欠かせなくなっています。人口が減るということは、それだけ購入者や契約者も少なくなるわけです。このまま何も手を打たなければ、売上が低下する可能性が高い状況に置かれているのです。
このような時代に生き残り、企業を成長させるには、高度なマーケティング戦略による買ってもらうための工夫が欠かせません。
価値観の多様化も、対処すべき課題です。高度経済成長期やバブルの時代に比べると、現在の消費者は、人によって多種多様、千差万別な価値観を持つようになってきており、一点集中型のビジネスだと不利になる可能性が増しています。
例えば、昔はビールといえば、選択肢は銘柄程度でした。しかし、今では低価格を求める方のために発泡酒などが用意され、他にも糖質ゼロやカロリーオフ、ノンアルコールなど様々なラインナップが登場しています。多彩なニーズに応えられないと、売上が落ちるだけではなく、他の企業に顧客を奪われかねません。
このため、現代の企業は顧客ニーズを掘り起こし、シェアを伸ばし、市場で生き残るためにマーケティングに力を入れているのです。
マーケティングの一連のプロセスをわかりやすく
マーケティングのプロセスは、以下の6つのステップに分けて考えるのが一般的です。
- 市場分析
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- マーケティングミックス
- 実行と評価
まず、市場分析はマーケティング戦略の基礎となる部分です。色々な情報を集めて整理し、今度の方針を立てていきます。そのため、分析する要素は広範囲にわたるのが特徴です。第一に市場や顧客のニーズを洗い出し、求められていることを把握。その上で、自社の強みや弱点を洗い出します。
他には、競合他社の状況や法律改正の有無など、外部要素も分析が欠かせません。ライバルが出遅れていたり、規制緩和が追い風になったりすることがあるためです。
セグメンテーションでは、現実の市場を小さく区切っていきます。年齢や地域、性別などによって市場を細分化し、戦略を立てやすくするわけです。例えば、北海道エリアの20代男性と、沖縄の30代女性のセグメントなら、売上はどっちの方が期待できるかなどを考えます。
そして、ターゲティングの作業によって、自社が最も有利に立てるような条件を見つけていくわけです。
ポジショニングでは競合他社と差別化を行い、自社の立ち位置を明確にします。この3つは相関関係にあるため、ワンセットで考えると良いでしょう。
以上の作業によって得られた情報や戦略をまとめて、実行可能な計画を作るステップがマーケティングミックスです。実際に製品を作ったとして、コストや販売経路はどうなるかなどを具体的に検討します。その結果、自社の狙い通りに戦略を実施できるかを見極めていくわけです。
低価格を求める市場にリーズナブルな商品で参入したいけれど、コストがかさむのであれば戦略の見直しが必要でしょう。課題を全て修正し、最終的な計画が決定すれば、いよいよ実行段階です。
マーケティングは確実に実行することが大切ですが、同時に、評価と反省も欠かせません。実施して終わりにするのではなく、その効果や課題をチェックして、次の計画に活かしていきます。
よく使われるマーケティングの種類
最後に、よく使われるマーケティングの種類をご紹介しておきます。
マスマーケティング
ターゲットを特に限定せず、不特定多数を対象に広くプロモーションを行うマーケティングです。複数あるマーケティング方法の中でも、もっとも身近な種類と言えるでしょう。
具体的には、TVCMやポスターなどを用い、広範囲に訴えかけます。多くの人に認知されるように工夫しますので、普段の生活でも自然と目につくのが特徴です。
ダイレクトマーケティング
こちらはターゲットを明確に絞って、企業から直接コミュニケーションを図るなどのアプローチをするマーケティングです。特に、ターゲットからのリアクションを引き出すことを目的とするケースが多いです。
実際に用いられている手段は、ダイレクトメールやSNSの活用など枚挙に暇がありません。オンラインマーケティングとの相性が良く、近年、重要性が増している手法です。
ゲリラマーケティング
一般的なプロモーションの形にこだわらず、低コストで局地的な宣伝活動を行います。基本的に宣伝するエリアを絞りますが、近年は面白い広告はSNSなどでシェアされるので、意外と広範囲に訴求できるのも魅力です。卓越したアイデアが必要になりますが、成功した場合の効果は極めて高くなります。
一般的にはダンスをしたり絵を描いたりなど、コストがかからない方法が中心ですから、小規模事業者も実施しやすいのはメリットです。