上司や部下に話が通じないときの対処法 - 誰が悪いのか

話が通じない

会社では、仕事の相談や報告、提案など、あらゆる場面で、他の人への説明が必要となります。

しかし、一生懸命に説明を尽くしても、こちらが伝えたい内容を、相手に正しく理解してもらえないことがままあります。いったい、なぜなのでしょうか。

今回は、上司や部下に話を理解してもらえないときに、どのようにすれば伝えたいことを伝えられるのかを、「相手に話が通じない3つの原因」をもとに、考えていきたいと思います。

相手に話が通じない3つの原因

相手に話を理解してもらえないとき、その原因は、以下の3つに集約されます。

  1. 自分の説明力が足りない
  2. 相手の理解力が足りない
  3. 相手に理解する気がない

これらのうちの一つだけが原因である場合もあれば、それぞれが組み合わさり、複合的な原因となっている場合もあります。

ここからは、それぞれの原因について、詳しく見ていきたいと思います。

原因1. 自分の説明力が足りない

まず疑うべきは、自分の説明の仕方がわかりにくい、必要な情報が含まれていないなど、自分の側に原因がある可能性です。

人間は、自分を客観的に見ることが苦手なものです。自分ではきちんと説明できているつもりでも、相手にとってはわかりにくいものとなってしまっていることが多々あります。

うまく伝わらなかったなと思ったときは、今一度、自分の説明の内容と伝え方を見直すことをお勧めします。

それでは、どのような点に注意して見直せばよいのでしょうか。

「自分の説明力が足りない」ときの対処法

まず、相手に説明する内容に過不足がないかの確認が必要です。

伝えるべき情報が足りていないことは当然避けなければなりませんが、一方で、伝えたい気持ちが強いあまり、必要以上の情報を過度に相手に与えてしまうことも避けるべきです。

シンプルに、要点だけをしっかりと押さえた説明が、何よりも相手に理解されやすい説明となります。「結局何が言いたいの?」などと言われないように、簡潔に伝えることを心がけましょう。

また、相手に伝える際の話の順番もとても大切です。わかりやすいストーリーラインで説明できるか否かで、聞く側の理解のしやすさは格段に違ってきます。

参考となる手法として、PREP(プレップ)法があります。

PREP法とは、プレゼンテーションやビジネス文書などにおいて、簡潔で説得力のある文章内容を構成するための手法で、Point(結論)、Reason(理由)、Example(事例、具体例)、Point(繰り返しの結論)の4つの要素を順番に用います。それぞれの頭文字をつなげてPREP法と名づけられています。

それぞれの構成要素の詳しい説明は、以下のとおりです。こちらをもとに、説明内容を整理してみてはいかがでしょうか。

1. Point(結論)

まずはじめに、説明したい内容の結論から伝えます。聞き手の集中力が最も高い状態である開始時に、最も大切な結論を伝えることで、今回の説明の意図をしっかりと印象づけます。

また、このあとの説明が何についてのものなのかが聞き手にとって明確になるため、説明全体の理解のしやすさにもつながります。

特に、日本人は結論を説明の最後に持っていきがちです。回りくどさはわかりにくさです。注意しましょう。

2. Reason(理由)

次に、結論に至った理由を説明します。論理的整合性に問題がないかを意識することが大切です。

相手が受け入れやすい、相手の好みに則した理屈が用意できていれば、より伝わりやすくなるでしょう。

3. Example(事例、具体例)

次に、理由を補強する事例や具体例を説明します。具体例の提示は、聞き手の理解の助けとなります。

特に、会社においては、過去の成功事例が必要以上に重視される傾向にあります。

「でもそれは別の話だよね?」などと言われないような適切な事例を用意しましょう。

4. Point(繰り返しの結論)

最後に、再度、結論を伝えます。理由や事例を踏まえた上で、再度、結論を伝えることで、説得力を持って、話をまとめることができます。

原因2. 相手の理解力が足りない

自分の説明に落ち度がない場合であっても、相手に話を理解してもらえないことがあります。その一つが、相手の理解力が足りていないときです。

相手の頭のよさ、情報処理能力が水準よりも劣っている場合、説明の前提となる情報を相手が知らない場合など、様々なパターンが想定されます。

そのような場合は、どれだけ相手の理解力に合わせて、説明内容を調整できるのかが重要なポイントとなります。

「相手の理解力が足りない」ときの対処法

まず前提として、前述の「自分の説明力が足りない」ときの対処法はしっかりと行っておく必要があります。相手の理解力が足りていない以上、説明する側が情報をわかりやすく伝えることは最低条件です。

その上で、以下のことに気をつけて、説明内容を調整しましょう。

  • 相手が小学生、中学生でも伝わる説明内容になっているか
    専門用語は含まれていないか、難しい言い回しになっていないか、論理に飛躍はないかなどについて意識しましょう。
  • 相手が知らない事実が前提の説明内容になっていないか
    知っているはずのことでも忘れているのが人間です。前提を簡単に説明してから本題に入った方がよいでしょう。

それでも伝わってなさそうな場合は、相手がどの部分について理解できていないのかを細かくヒアリングし、その部分についてさらに平易に、根気強く説明することが必要となります。

相手が理解していないのに、なんとなく伝わった風な雰囲気だけで説明が終わってしまうと何の意味もありません。その後、何度も同じ説明を一からすることになってしまいます。つらくても、一度の機会で決着をつけることを目指しましょう。

原因3. 相手に理解する気がない

自分の説明に落ち度がなく、相手の理解力も十分なはずなのに、相手に話を理解してもらえないことがあります。それは、相手にそもそも理解する気がないときです。

説明内容に関して、相手の中にすでに別の結論が存在している場合や、先入観で内容を決めつけてしまっている場合など、何をどのように説明しても、話が伝わらないことがあります。

そのような場合は、どのようにしたらよいのでしょうか。

「相手に理解する気がない」ときの対処法

まず、相手の話をじっくりと聞くことが必要です。その上で、聞いた話に対して反論していくなど、一方的な説明の場から、双方向の意見交換の場に切り替えることが大切です。

コミュニケーションを図ることで、誤解や先入観があれば解くこともできるでしょうし、相手に説明内容を受け入れる気が全くないことが確認できれば、その理由を聞き、他の手段を検討することも可能となります。

ここまで、「相手に話が通じない3つの原因」とその対処法についてご紹介してきました。大事なポイントは、「どれだけ話を聞く相手の状態を理解できているか、どれだけ話を聞く相手の立場に立って説明ができるか」です。想像力を発揮し、自分の説明内容を客観的に見つめることが、成功への近道だと言えるでしょう。