管理職として様々な部下と仕事をしていくと、時に制御の難しいトラブルメーカー部下に出会うことがあります。
トラブルメーカー部下の中でも多いのが、仕事ができないのに、やる気だけが先走って、暴走状態となってしまう部下です。
上司として、そのような部下を受け持ってしまった場合、どのように対処すれば、被害を最小限に抑えつつ、上司としての役割も全うできるのでしょうか。今回は、トラブルメーカー部下の行動原理にせまりつつ、その対処法について考えていきたいと思います。
トラブルメーカー部下を理解する
まずは、仕事ができないのに、やる気だけが先走るタイプのトラブルメーカー部下の特徴について、まとめたいと思います。
そのような人材は、主に、以下の3つの特徴を備えています。
- 仕事の優先順位がわからない
- レポートラインがわからない
- 他人の理屈がわからない
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
仕事の優先順位がわからない
このタイプの部下は、仕事の優先順位が理解できず、今、自分がやるべきだと思ったことが、自分だけではなく、他の社員も優先して行うべき最優先事項となってしまいます。
上司が、全体の戦略を考慮して優先順位を検討し、トラブルメーカー部下の提案を後回しにしようものなら、上司をものの道理がわからぬ愚か者だと憤ることでしょう。
視野がせまく、正しい判断ができないのに、やる気と責任感だけはあるのです。
レポートラインがわからない
また、会社で組織として仕事を進めるために整備されているレポートラインを理解することができません。
そのため、上司に相談もなく他の部署へ仕事を依頼したり、課長を飛び越えていきなり部長へ承認を得に行くなど、様々なトラブルの火種を作り出します。
今、自分がやるべきだと思ったことを、すぐにでも進めるために、自分が考えつく最も効率的な手段を躊躇なく選択するのです。
やる気と責任感だけはあるのです。
他人の理屈がわからない
そして、他の者から、それらの考え方や進め方について問題がある旨を指摘されても、その内容を理解することができません。
自分は正しいことをしているのだという思い込みが強すぎるのです。指摘をしたとしても、逆に、自分が信じる正しいことをスムーズに進めることができない会社の組織や上司への憤りを募らせる結果となるでしょう。
トラブルメーカー部下への対処法
それでは、上司として、そのようなトラブルメーカー部下をどのようにマネジメントすれば良いのでしょうか。
押さえるべきポイントは、以下の3つになります。
- 上司としての役割は全うする
- 他部署や他の社員に迷惑をかけない
- 部下に納得感と満足感を与える
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
上司としての役割は全うする
まず、どのような部下が相手であれ、上司としての役割は全うする必要があります。
部下の考え方や行動に問題があれば、つど、懇切丁寧に何が良くなかったのかを説明、指導することをお勧めします。それは、上司の義務であると同時に、指導をしてもむだだとあきらめて、指導を怠っていた場合、その部下がトラブルを起こした際に問われる責任がさらに大きくなってしまうことも理由として挙げられます。
問題は起こるものとし、問題が起こった際に自らの責任がなるべく追及されないように、上司として正しく行動しておくことが求められます。
他部署や他の社員に迷惑をかけない
トラブルを起こさせないためには、他部署や他の社員に関わらせないのが一番です。
自部署において個人で完結する業務に専念させることをお勧めします。
部下に納得感と満足感を与える
自部署内に閉じ込める際に注意すべきなのが、そのやる気と責任感です。
与えられた業務に、やる気と責任感を発散することができるクリエイティブな内容が含まれていない場合、不満を募らせ、上司のあずかり知らぬところで勝手な仕事を始める可能性があります。
その限られた範囲の仕事の責任者として任命し、形だけの裁量権を与え、被害が発生しないように行動をコントロールをしながら、本人が自由にやりたいように活躍できていると錯覚できる場を用意しましょう。
厄介者を厄介払いするというネガティブなだけの対応ではなく、他者との連携には不向きでも、自部署内でそのやる気と責任感を集中させることによって、新しい活躍の場を見つけるチャンスを部下に与える対応になります。
チーム全体に責任を持つ管理職として
やる気や責任感があるのはすばらしいことです。しかし、そのエネルギーが間違った方向に進んでしまうと、大きなハレーションを起こしてしまいます。
上司の役割は、その強いエネルギーを正しい方向に向けられるように調整することです。
とても困難で、上司としての大きなエネルギーが必要な仕事になりますが、管理職として、部下たちよりも高い給与をもらっている責任です。がんばりましょう。
もちろん、チーム全体に責任を持つ者として、その部下に割くべきエネルギーを他に割くべきだという考え方も合理的なものです。その部下も他の部署ならば適性があるかもしれません。当該部下の、他部署への異動を推し進めるのも良い判断だと言えるでしょう。