外部委託先の担当者の質が悪い/使えないときの対処法と事前の回避法

仕事の疑問

会社で事業を進めていく上で、自社でまかなえないことは、外部の専門業者に委託することも多いかと思います。

しかし、外部委託先の業者と仕事を進めていく中で、業者の担当者に思いどおりに動いてもらえず、苛立ちを募らせる経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。

わざわざお金を払って、その道のプロにお願いしているはずなのに、肝心の外部委託先の担当者が無能で自分の手間が増えてばかり…。

今回は、そんな外部委託先の担当者の質が悪いとお悩みの方や、これから悩むかもしれない方に向けて、その対処法や事前の回避法をご紹介できればと思います。

新しい外部委託先か、既存の外部委託先か

この問題の対処法や回避法を考える際には、問題となる担当者が、新しく取引をはじめた外部委託先の担当者なのか、既存の外部委託先の引き継ぎで現れた新しい担当者なのかで話が変わってきます。

該当する方をお選びいただき、ご参照いただければ幸いです。

新しく取引をはじめた外部委託先の担当者について

いざ新しいことをはじめようと、外部委託先の業者をパートナーとしてむかえたはいいものの、その大事な担当者が仕事のできない人材だったら目も当てられません。

外部委託先の業者を選定する際には、それなりに信頼できる相手を選んでいるはずなのに、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

業者選定時に認識しておくべきこと

特定の案件について、新しく委託業者と契約をかわす前には、多くの場合、候補となる業者にその案件についての提案、プレゼンテーションを行ってもらい、委託するに足る能力があるのかを十分に検証することと思います。複数の業者に提案をさせ、比較して、案件を任せる一社を決めるコンペティションを行うこともめずらしくありません。

ここで依頼する側が認識しておくべきなのは、「提案、プレゼンを行う人間と、案件がはじまってから担当をする人間は、必ずしも一緒ではない」ということです。

業者側は、契約を勝ち取るために、提案、プレゼンにエース級の人材を用意してくることでしょう。しかし、業者側にとってエース級の人材は貴重で希少な戦力です。彼らは大事な顧客の担当で手一杯で、よほど大きな案件でもなければ、新しい案件の担当を受け持つことはないでしょう。

そして、担当者の質は、同じ会社の中でも人によって天と地ほどの差があり、仕事の質は、会社ではなく担当者個人の能力に左右されます。

「この会社なら任せてもだいじょうぶそうだ!」と思って依頼することにしても、あてがわれた担当者が「地」の方の人材であれば、「こんなはずじゃなかったのに…」と頭を抱える未来が待ち受けています。

業者選定時に確認しておくべきこと

そのため、業者選定時には、案件を実際に担当する人間が誰になるのかをはっきりと確認し、その人物に案件を任せても安心できるのか見定めておくことをお勧めします。

確認した結果、実際に担当する人物が頼りないと発覚した場合に、業者からは「実際に担当する人間は経験が浅いけれど、エース級の人材がチームとしてしっかりサポートするので安心してください」などと言われることがあります。

このような発言は、顧客を安心させ、契約を勝ち取るためのごまかしであることも多いので注意が必要です。有能な人材は、自分自身の案件である重要顧客の相手で忙しく、他人のサポートをしている暇などないと考えた方が無難です。

とにかく、メインの担当者に優秀な人材をあてがってもらうことを第一に考えて、交渉を進めましょう。

会社として、こちらがこの案件にどれだけ真剣なのかをしっかりと伝え、この案件が順調に進行できた際には、さらに大きな予算規模の案件となる可能性、発展性を具体的に伝えるなどすることで、業者側の本気を引き出す工夫をするとよいでしょう。

結局、質の悪い担当者があてがわれた場合の対処法

それでも結局、質の悪い担当者があてがわれた場合は、具体的にどのような問題や支障が発生しているのかを業者側に伝え、具体的な改善策を要求し続ける必要があります。クレームではなく、あくまで今後うまくいく体制にするための、建設的な対話をしていくことが大切です。

その際には、業者の担当者だけではなく、その上司やチームの人間にも伝わるように行うのがポイントです。担当者本人だけに訴え続けても、握りつぶされる可能性があります。

最悪の場合には、契約の不履行などの理由で、お金の支払いができなくなるなどのことも伝えるべきでしょう。あらかじめ、単なる稼働工数にお金を支払うのではなく、約束した成果物に対して支払う意思であることを、責任者同士で合意しておくことをお勧めします。

また、リスクヘッジのために、いつでも契約を終了できるようにしておくとよいでしょう。案件の途中での契約終了をちらつかせることも、相手の本気を引き出すカードとして使えます。

最終的な目標は、担当者の変更です。質の悪い他社の担当者を、自社の予算と労力で時間をかけて育てる義理も責任もありません。

既存の外部委託先の新しい担当者について

どんな会社にも人事異動はつきものです。一緒に案件を進めてきた外部委託先の担当者とも、別れのときは訪れるものです。案件の担当は後任者へと引き継がれます。

しかし、この担当者の引き継ぎにおいて、後任者が前任者のスペックを上回ることはなかなかありません。いったい、なぜなのでしょうか。

外部委託先の業者はどこかで新人を育てたい

どんな優秀なベテランも、はじめは未経験の新人です。誰しもがどこかでデビューをむかえ、経験を積んでいかなければなりません。

そのデビューの舞台として、ベテランが担当し、安定させ終わった既存顧客の案件は好都合です。顧客との関係性は構築できており、想定外のことは起こりにくく、ヘルプにもすぐに入れる、これ以上の案件はありません。

同様の理由から、新人のデビューの舞台だけではなく、力の劣る社員の成長の場としても、ベテランが担当していた既存顧客の案件は使われがちです。

安心できる客になってはいけない

そのため、外部委託先の業者にとって、案件が安定し、安心できる客になればなるほど、引き継ぎで現れる新しい担当者が、新人か力の劣る人材になる可能性が高くなります。

そして、その新しい担当者を育てる労力の大部分を、依頼主側の担当者が引き受ける結果となってしまいます。他社の担当者を、自社の予算と労力で時間をかけて育てる義理も責任もありません。

そうならないために、依頼主側は、以下のことを意識して案件の進行に励むことをお勧めします。

  • 担当者同士で必要以上に慣れ合わず、緊張感を保つ
  • 案件をルーチンワーク化させず、常に新しい試みを行う
  • 予算拡大の可能性を示唆し、外部委託業者にとって重要な顧客であると意識させる

決して、「このお客さんは新人に任せてもだいじょうぶだな」などと思わせてはいけません。

結局、質の悪い担当者があてがわれた場合の対処法

それでも結局、質の悪い担当者があてがわれた場合は、具体的にどのような問題や支障が発生しているのかを業者側に伝え、具体的な改善策を要求し続ける必要があります。クレームではなく、あくまで今後うまくいく体制にするための、建設的な対話をしていくことが大切です。

どうにもならないときには、相手の会社に対して、担当者の変更をお願いしていくことになります。

ここまでは、新しく取引をはじめた外部委託先の担当者について問題が発生した場合と同じ対処法になります。

既存の外部委託先の新しい担当者の場合に注意すべきなのは、担当者の評価についてです。

人はどうしても、すぐに後任者を前任者と比べたくなりますが、前任者には案件への慣れという大きなアドバンテージがあります。

後任者も、その案件に慣れることで化ける可能性があることを加味して、本当に交代を要求する必要があるのかを判断する必要があります。

ときにビジネスは残酷なもの

相手の担当者のことを考えると、人の目に触れる形で失格の烙印を押してしまうのは、酷な部分もあるかと思います。

しかし、これもビジネスなのです。自社の利益を最大化するために、ときには心を鬼にして、伝えるべきことは伝えなければなりません。