新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、会社での働き方にも大きな変化が求められています。
それは、新型コロナウイルス感染症の流行が収束するまでの一時的な措置ではなく、完全な収束(終息)が見通せない感染症と長く付き合っていくための、恒常的な措置となります。
新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議が、2020年5月4日に提言した「新しい生活様式」においても、テレワークや時差出勤の定着が求められています。
一方で、まだ多くの企業が、新型コロナウイルス感染症の流行の収束を待って、徐々にでも、もとの働き方に戻すつもりでいるのが実情です。
残念ながら、たとえ緊急事態宣言が解除されたとしても、もとの働き方に戻すのは難しいのが現実でしょう。かつての日々は戻ってはきません。
今回は、そのような現実を早めに受け入れて、新しい働き方がどのようなものになるのか、何をどのように切り替えなければならないのかについて、考えていきたいと思います。
アフターコロナの働き方
新型コロナウイルス感染症が流行した後の世界を意味する「アフターコロナ」の働き方の特徴としては、主に以下のものが挙げられます。
- テレワークの原則化
- 時差出勤の原則化
- たまに自宅待機
- 対面での営業活動の自粛
- 会議の縮小と対面回避
- ハンコの不要化
- 飲み会など懇親会の自粛
それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。
1. テレワークの原則化
緊急事態宣言以前より、人同士の接触を避けるテレワーク(リモートワーク)が推奨されていますが、アフターコロナにおいても、引き続き推奨されると考えられます。
新型コロナウイルス感染症が完全に収束することは困難であり、持続的に人と人との接触を避ける必要があるためです。
一方、テレワークの中身、業務目的には変化が生じると考えられます。
今までは、会社としての最低限の業務を維持することが目的であったり、あくまで臨時の措置として、成果物に向けられる目は比較的やさしいものだったのではないでしょうか。
しかし、テレワークが恒常的な措置となった場合は、コロナ禍以前と同様の事業規模を、新しい働き方のもとで目指す必要があり、テレワークであったとしても、以前のオフィスでの勤務時と同じパフォーマンスを上げることが求められるようになると考えられます。
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2. 時差出勤の原則化
緊急事態宣言下においては、そもそも出勤すること自体をひかえる状況でしたが、アフターコロナにおいては、事業を本格的に再稼働するために、自宅待機だった人たちの業務への復帰が想定されます。
出勤する際には、電車等での混雑を発生させないために、時差出勤が原則となるでしょう。
3. たまに自宅待機
アフターコロナにおいては、自宅待機だった人たちの業務への復帰が想定されますが、一方で、新型コロナウイルスの感染者数は、今後も増減を繰り返すことが考えられます。
感染者数が増えてきたタイミングを見計らって、今後も断続的に自宅待機の指示が出ることでしょう。
4. 対面での営業活動の自粛
アフターコロナにおいて、営業活動を本格的に再開した場合でも、訪問などの対面での営業活動は自粛せざるをえないでしょう。
電話、メール、DM(ダイレクトメール)、Web会議システムなどを使った、非対面での営業活動が主流になると考えられます。
人は、実際に顔を合わせてコミュニケーションをとることで、より相手への親近感を高める生き物です。営業活動においても、直接顔を合わせて行うことの効果は小さくありません。
そのため、これからの営業活動には、対面での親近感を補う、今まで以上の説得力が必要となると考えられます。今までのトークスクリプトを見直す必要も出てくることでしょう。
5. 会議の縮小と対面回避
濃厚接触を最低限なものとするために、直接顔を合わせる会議は、可能なかぎり少人数で行い、対面の席に座ることは避け、テレビ会議システムも併用することになるでしょう。
そもそも、会社という組織は、無駄な会議が多いものです。必要性を考えて開催されることにより、最適化が進むと言えます。
6. ハンコの不要化
出社を強要するハンコが必要となる業務について、すでに一部の会社では恒常的な見直しが行われています。
その他の会社でも、臨時措置ではありますが、緊急事態宣言下においてハンコを省略した業務フローを運用しています。
アフターコロナにおいては、ほとんどの会社で、ハンコを不要とする業務フローへの恒常的な移行が進められていくことになるでしょう。
7. 飲み会など懇親会の自粛
事業の再開に伴い、出社する社員が増えてきたとしても、以前のような形で飲み会などの懇親会が開かれることはもうないでしょう。
開かれるとしても、参加人数に制限を設けたり、時間を短縮する形になると考えられます。
会社は早期の適応が求められる
コロナ禍は、完全に収まるまでに何年かかるかわかりません。もしかしたら、ウイルスと共存するという意味では、もう二度と収まることはないのかもしれません。
アフターコロナは、もはや新型コロナウイルスと共に生きていく世界を意味する「ウィズコロナ」と同義であると考えるべきでしょう。
コロナ禍の間は最低限の業務だけを維持して、収束したらもとの事業規模に戻そうなどとのんきに考えていると、会社が潰れてしまいます。
アフターコロナの新しい働き方で、もとの事業規模を可能とする新たな枠組みをどれだけ早く構築できるかが、この厳しい状況で生き残るために、各社に求められていることなのではないでしょうか。
そもそも、コロナ禍で、世の中の様々な需給バランスが大幅に変わってしまったために、会社によっては事業内容自体を見直す必要も出てきてしまっています。
経営陣の底力が試されています。