埼玉新聞社への就職/転職はアリ? 元社員による本音レビュー

本レビューは、元社員による寄稿を、公益の観点からネガティブな内容も含め掲載しています。レビュー内容は一個人の見解であり、当該企業がブラック企業かを断定するものではありません。

腕を組むビジネスパーソン

ニュースを読む手段が紙媒体からネットに移行しているため、発行部数がどんどん減少している新聞業界。そんな苦行に立たされている新聞社の社員にはどのような実態があるのでしょうか。私は2012年から2014年まで埼玉新聞社で正社員として記者の仕事をしていました。今回は当時の体験談をお伝えします。

株式会社埼玉新聞社」の基本情報

英文社名 The Saitama Shimbun Company
本社住所 埼玉県さいたま市北区吉野町2-282-3
創業年日 1944年10月16日
資本金額 8000万円
従業員数 約150名

新聞記者の取材対象は、こんなふうに分類されている

まず新聞社の社員は大きく分けて「記者」「デスク」「校閲」「営業」に分類されます。

取材を重ねて記事を書くのが記者で、その記事の適切な見出しや紙面のレイアウトを決めるのがデスクです。校閲は誤字脱字がないかや専門用語が正しく使用されているかなどを印刷をかける前にチェックします。また発行部数を伸ばすための宣伝活動や新聞社主催のイベントを企画するのが営業です。

私は記者として採用されたので、ここでは記者の仕事について掘り下げます。埼玉新聞の記者は政治部・経済部・社会部・文化部に分かれていて、それぞれの部署によって取材の対象が明確に決められているのです。

政治部では各政治家や県議会を取材し、選挙や政策の動向を記事にします。

経済部といえば株価の値動きを分析しているイメージが強いですが、地元の企業を取材して新商品情報をいち早く紹介して、企業秘密が漏れない程度に今後の戦略を記事にするのも経済部の仕事です。

社会部は事件や事故があれば現場にかけつけ、警察や検察にも取材をしたうえで記事を作成します。またある事件で判決が出れば、裁判所でも取材をしなければなりません。

その一方で比較的ラクだといわれているのが、文化部です。文化部は地元で開催される美術展や演劇などを取材して記事にしています。

社会部の記者になると激務が待っている

私は4つの部署の中で最も激務だとされている社会部に配属されました。

事件があれば重要な調査をしている刑事の自宅前で早朝から待機して、玄関口に現れたところを押しかけて取材します。重要な情報を握っている刑事ほど日中にアポイントを取るのが難しいので、このような突撃取材になってしまうのです。

警察が会見で発表する内容を記事にしているだけでは他社との差別化が図れないので、埼玉新聞では刑事への早朝取材という形をとっています。早朝から取材した際はもちろん早出出勤の残業手当が支給されますが、事件の解決が長引いているときは1か月の残業時間が40時間を超えることもあります。

社会部の記者は事件の数によって不規則な生活スタイルを余儀なくされますが、そのぶんの残業手当や移動に使ったタクシー代などはすべてもらえるので、ブラック企業レベルは低いと感じました。

しかし、埼玉新聞の記者の年収は30代前半で350万円くらいですが、この年収には早朝取材の残業代も含まれています。つまり残業がほとんどない文化部の記者は、年収が300万円くらいなのです。これは大手の新聞社と比べるとかなり低い水準だといえます。

さらに記者の仕事をしていると何度も取材を重ねてやっと完成させた記事が、デスクの上司にあっさりとボツにされてしまうこともあります。ボツにされた瞬間は理不尽な気持ちでいっぱいになるのですが、上司はもっと深堀できそうな箇所や面白くなりそうな記事の書き方を必ず指導してくれるので、パワーハラスメントだとは感じませんでした。

いま振り返れば自分の書いた記事がすんなり採用されたときよりも、ボツにされて上司からの指導を受けていたときのほうがスキルアップにつながっていたと思います。

記者へのセクハラ対策を会社側が提示してくれている

ハラスメントに関しては埼玉新聞の社員同士でのセクハラが問題視されることはありませんが、女性記者が取材先でセクハラの被害に遭うことはあるようです。

経済部の女性記者が、ある繊維メーカーを一人で取材したときの事例を紹介します。女性記者が取材相手の男性幹部を前にして「私は今日、御社が販売しているストッキングを履いてきました」と言ったところ、「ウチの商品は履き心地がいいだろう」とニヤニヤしながら軽くひざを触られたそうです。触られたことに対して強く拒絶するとその日の取材が台無しになってしまうので、女性記者は苦笑いをしてその場をやり過ごしました。

この事例があってから各部署の記者には、「取材相手のところに一人で行った際は、相手の許可を取ったうえですぐにボイスレコーダーのスイッチを入れなさい」という指導がなされました。この指導があってからは、セクハラの被害を耳にしたことはりません。記者側が「証拠を残しますよ」というアピールをすれば、取材相手からのセクハラ行為はなくなるようです。

これまでは女性記者が泣き寝入りをしていた部分もあると思いますが、セクハラの対処法を会社側がしっかりと提示したので埼玉新聞社には誠実な職場環境が整っていることを実感しました。

埼玉新聞社のブラック企業レベル

埼玉新聞社のブラック企業レベルは、5段階評価中の2です。他人よりもストレスに弱い人にはお勧めできません。

【参考】ブラック企業レベルとその目安

  • 5…すべての人にお勧めできません。
  • 4…過酷な労働を愛する人以外にはお勧めできません。
  • 3…強いストレスへの耐性がない人にはお勧めできません。
  • 2…他人よりもストレスに弱い人にはお勧めできません。
  • 1…少しブラックなところもある一般的な会社です。

いつも定時で働いている人は不規則時間帯に取材しなければならない点をブラック企業だと感じるかもしれませんが、新聞記者として働くならこれはしょうがないことなのです。もし新聞記者で高給取りになりたいなら、狭き門ではありますが全国紙の新聞社に入社することをお勧めします。