「老害」という言葉は、特定の年齢や世代へのハラスメントであるエイジハラスメントになる可能性のある言葉ですが、一方で、古き悪しき価値観を捨てることができず、職場や家庭で周りに多大な悪影響を及ぼし続ける中高年が存在することも事実です。
そこで今回は、古き悪しき価値観をアップデートし、職場や家庭で老害と思われないための方法をご紹介できればと思います。
老害だと思われてしまうような古い価値観を持ったままでは、職場だけではなく、定年後の生活にも大きな影響が出てしまいます。自身の幸せな人生のためにも、この機会にぜひ、確認していただくことをお勧めします。
目次
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まずは自覚が大事! 老害セルフチェック
人間、自分自身のことはよくわからないものです。自分が当たり前だと思っている価値観が、実は今の世の中と折り合わないものだと気づいていないこともめずらしくはありません。
まずは、ご自身が以下の項目に該当していないかチェックしてみましょう。
- 役職は、その人物の偉さを表していると考えている
- 家族といるよりも、職場の方が居心地がよい
もし、どちらか一方でも該当するようでしたら、注意が必要です。
実践! 価値観アップデート
役職は、その人物の偉さを表している?
会社での役職が、その人物の偉さを表していると考えている方は、少なくないのではないでしょうか。残念なことに、日本の伝統的な大企業では一般的な価値観となってしまっていると言えるでしょう。
しかし、役職の高さは、会社の組織内での役割、機能を表しているものにすぎず、その人自身が立派な人物であったり、尊敬に値する人物であることとイコールではありません。
上司が部下に命令できるのは、あくまで業務上必要となる指示のみであり、業務時間外の飲み会やゴルフへの参加を強制することなどできません。また、当然、上司には部下の人格の否定をする権利もありません。
会社の中では、なぜか一般的な社会の常識が通用しなくなりがちです。上司が部下の人格を否定する行為は、地域の自治会などで、いきなり近所の人の人格を否定しだすのと同様の非常識な行為なのだと認識しておく必要があります。
間違っても、「自分は役職が高いから偉いんだ。部下のことを好きに扱ってもいいんだ」などと勘違いしてはいけません。
他者に尊敬されたいのであれば、まずは自分自身が常に他者を尊重する人格者でいることを心がけましょう。
家族といるよりも、職場の方が居心地がよい?
家族といるよりも、職場の方が居心地がよいと考えている方も、注意が必要です。
「なんだか家族が冷たくて、家に居場所がない」と愚痴をこぼす中高年は少なくありませんが、そのような状況に陥った理由にきちんと目を向けることが重要です。
前述のように、会社では役職の高さがその人物の人間的な価値だと勘違いされることが多く、どれだけ他者に嫌われるような人格の持ち主であっても、役職さえ上位であれば、周りからはちやほやされることになります。
そのような職場においては、上司は、部下にどのような理不尽な発言をしようと否定されることはなく、部下から不快な思いをするような発言を投げかけられることもありません。
会社では、役職という鎧が、嘘偽りのない人格評価から守ってくれていると言えるでしょう。
一方で家庭においては、誰もがただの一構成員にすぎません。理不尽な発言をすれば否定されるでしょうし、意見をぶつけあう中で不快な思いをすることもあるでしょう。そのような中で、もし家族に嫌われ、疎まれるようであれば、それがその人自身の嘘偽りのない人格評価だと言えるでしょう。
会社での人間関係は、あくまで相手が気遣ってくれている上での表面的なものであると認識し、嘘偽りのない家族との人間関係を円滑に構築できるように、努力を怠らないことが重要だと言えます。
どうなる? 古き悪しき価値観のまま過ごす定年後
もし、価値観をアップデートすることなく、老害として定年を迎えてしまったらどうなるのでしょうか。
嘘偽りのない人格評価から逃げ、皆がちやほやしておだててくれる環境で長年すごしてしまったその人は、役職のない状態で社会に放り出された瞬間に困惑することになるでしょう。
「なぜ、周りの人間は自分をちやほやしておだててくれないのだろう」、「自分は偉いのに周りの奴らは失礼だ」などと怒りを覚える人も少なくないのではないでしょうか。
会社では、怒っている態度をとれば、すかさず部下がご機嫌とりをしてくれますが、一般的な社会では周りから人が去っていくだけです。
そして、周りに相手をしてくれる人がいなくなったその人物は、相手をせざるをえない量販店の店員や企業のサポートセンターに強制的に相手をさせるようになり、迷惑なクレーマーと認識されるようになります。
長年、一生懸命働いてきて、晩年がそのような周囲から疎まれる寂しい人生で良いはずはありません。幸せな老後のためにも、ご自身の価値観を確認してみてはいかがでしょうか。