上司はなぜ飲み会で聞いてもない武勇伝を語るのか - 聞く意味ある?

飲み会のイメージ

断りづらい上司からの飲みの誘い、参加することにメリットがあれば乗り気にもなるものですが、多くの場合、上司の過去の武勇伝や自慢話を一方的に聞かされることになります。

そのような飲み会において、職場では話しにくいであろう部下の悩みを真面目に聞き出そうとしたり、仕事の今後について生産的な会話をしようとする上司などほとんどいないのが現実です。いったい何のためにプライベートの時間まで上司に拘束されるのか、疑問に思ったことのある方も多いのではないでしょうか。

今回は、なぜそのような生産性のない飲み会を上司がわざわざ開くのか、そして、そこに参加することにどのようなメリットがあるのかについて、お伝えできればと思います。

目次

ご覧になりたい項目をクリックすることで、該当箇所に移動することができます。

上司はなぜ武勇伝を語り出すのか

まずは、上司がなぜ飲み会で聞かれてもいない過去の武勇伝や自慢話を勝手に語り出すのか、上司の気持ちを明らかにしておきたいと思います。

簡単にまとめてしまうと、以下の2点だと言えるでしょう。

  • 肯定されて気持ちよくなりたい
  • マウントをとって気持ちよくなりたい

それぞれについて、詳しく見ていきたいと思います。

肯定されて気持ちよくなりたい

上司と部下の関係は、会社で仕事を進める上での組織的な役割に過ぎず、本来であれば人間としてのえらいえらくないを定めるものでもなければ、業務時間外に有効なものでもありません。

しかし、「上司は人間的にえらい」と勘違いしている人は多く、飲み会の場でも無意識か空気を読んでかその上下関係を持ち込むことがほとんどです。

そのような環境下で、上司は部下に何を話しても否定されることはなく、気持ちよく全てを肯定してもらえ、自己肯定感を高めることが可能となります。

上司は、職場ではさらに上の上司から日常的に否定されています。そして、家庭では家族に自身の発言の全てを好意的に受け止めてもらえるわけではありません(それが普通の健全なコミュニケーションだと言えます)。

そんな上司にとって、全肯定が約束されている、都合のよい、気持ちのよい部下との飲み会は麻薬的なものです。相手が聞きたい話を気を使って選ぶ必要もないため、ただただ自分が肯定してもらいたい内容を一方的に話し続けるマシーンと化してしまうのです。

構造的には、キャバクラなどの接待を伴う飲食店で行っていることを、部下相手に行っている形になります。

マウントをとって気持ちよくなりたい

人には、他者よりも上位に立ちたいという欲求があります。他者よりも上位に立つことで、プライド、自尊心を満たし、自己肯定感を高めたいと望んでいます。

そして、その欲求に逆らえない人が、他者に対して、いわゆるマウントをとる行為を行ってしまいます。

上司にとって、役割として明確に下位に位置づけられてる部下は、マウントをとるのに絶好の相手です。目の前にそのような存在がいては我慢ができなくなってしまうのでしょう。

上司は、飲み会で過去の武勇伝、苦労話を部下に聞かせ、「今の奴らは恵まれてるよな」、「今の奴らはだからダメなんだ、軟弱なんだ」とマウントをとって気持ちよくなることに夢中になってしまうのです。

会社組織における上下関係が存在しないところでそんなことをしては、当然、相手からの反論があったり、相手が不快感を表したりしますが、部下であれば全てを受け入れてくれるため安心です。

何を言っても部下が逆らわないことに気をよくした上司が、自分は何をしても許されるんだと勘違いし、パワハラやセクハラといった行為に及ぶことになります。

上司はなぜ自分が迷惑なことに気づけないのか

上司も昔は、嫌いな上司から飲み会に誘われ、聞きたくもない武勇伝や自慢話を聞かされていたはずです。なぜ、自分がその上司と同じことを部下に行っていると気づけないのでしょうか。

理由は単純で、人は自分自身を客観的に見ることが、自分が思っている以上にできないからです。

上司は、当時の嫌いだった上司を今の自分と重ねて見ることはできていませんし、部下をかつての自分と重ねて見ることもできていません。

いつの時代の上司も皆、自分が開催する飲み会は、部下が笑顔で話を聞いてくれる、みんなが楽しいWin-Winの飲み会だと思っていることでしょう。

上司の武勇伝に聞く価値はあるのか

それでは、上司の過去の武勇伝や苦労話を拝聴することは、実際のところ部下の仕事の役に立つのでしょうか。

仕事の役には立たない

結論から言うと、実際の仕事の役には立たないと言えるでしょう。

理想論で言えば、部下は上司のありがたい話の中から、一生懸命に役に立つ情報を拾い上げる努力をするのが望ましいと言えるかもしれません。

しかし、「自分が好き勝手に話して気持ちよくなろう」という目的でされた話と、「部下のためになる話をしよう」という目的でされた話では、実際の仕事で役立てるために必要な具体性や情報密度に格段の差があります。

わざわざ、具体性や情報密度の乏しい、上司が気持ちよくなるためだけの武勇伝や苦労話などから必死に得られるものを探すよりも、他の機会に、よりよい学びの場を見出すことをお勧めします。

出世の役には立つ

一方で、残念ながら、上司の話を気持ちよく聞いてあげて、上司から好印象を得ることは、仕事上の評価に結びつくことが少なからずあると言えるでしょう。そして、それは出世にも関係してきてしまいます。

人間は、感情の動物です。会社組織は、そんな人間の集合体です。表面的には、飲み会の参加率やそこでの上司へのごますりで出世が決まるなどとは決して言わないでしょうが、自分と仲のよい部下や自分に都合のよい部下を出世させ、自らのそばに置きたいと考えるのが人間です。

上司との飲み会に誘われれば必ず付き合い、上司を気持ちよく接待することができれば、「コミュニケーション能力がある」、「組織の和を保てる」などと、それらしい言葉に変換し、評価してくれることでしょう。

好む好まざるに関わらず、どうしても出世したいという方は、それらの事柄を認識しておく必要があります。