新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行の影響により、業務の向いている向いていないにかかわらず、多くの人が半強制的にテレワーク(リモートワーク)に移行していることと思います。
この働き方は、これからも長く続く可能性があるどころか、新しい働き方として永久に定着する可能性すらあるのが現実です。
しかし、テレワークに移行した人たちからは、仕事に集中できない、どうしても怠けてしまう、さぼってしまう、自己嫌悪でつらいなどの声が多く聞かれます。
今回は、そのような悩みに対して、どのように向き合い、対処していくべきかについて、考えていきたいと思います。
目次
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自分を必要以上に責めない
まず、前提として、さぼる余地があればさぼってしまうのが人間という生き物です。楽ができるのならば楽をしたがるのが自然です。
テレワークで他人の目がなくなった途端に怠けてしまうことで、自分自身を責めすぎるのはお勧めできません。
一度、自己嫌悪に陥ると、負の思考スパイラルにより精神状態が悪化していき、冷静な判断ができなくなることで、有効な対処が困難になる可能性もあります。自分を責めることには、何のメリットもありません。
隙あらば楽をしたがる自分自身の特性を認め、受け入れた上で、どのようにしたら問題を解決できるのかを考えた方が建設的です。
それらのことを踏まえて、具体的な対処法を考えていきます。
テレワークで怠けてしまうときの対処法
テレワークで怠けてしまう人にも様々なタイプの人がおり、個々で自制心や自己管理能力には大きな差があります。
ちょっとした工夫で普通に仕事ができるようになる人もいれば、何が何でもできない人もいます。
ここからは、その程度にあわせた以下の対処法をご紹介できればと思います。
- 自制心がある程度強い人向けの対処法
- 仕事をする場所を決めて整える
- 自制心が普通の人向けの対処法
- 人目のあるところで仕事をする
- 締め切り日を他の人に約束する
- 自制心が弱い人向けの対処法
- 時間ではなくタスクで仕事をする
仕事をする場所を決めて整える
自制心がある程度強い人であれば、仕事をする場所を決め、整えるだけで今までどおりの仕事ができるようになる可能性があります。
ただ単に環境に慣れていないというだけの理由で、テレワークでの仕事がはかどらない人は意外と多いものです。
家などで仕事をする際は、定位置を決め、その場所に座ったら仕事をするのだと自分の頭と体に覚えこませ、習慣化させます。
そして、その定位置を、仕事に集中できるような環境に作りかえていくとよいでしょう。イスや仕事道具や照明など、工夫の余地はたくさんあります。
人目のあるところで仕事をする
常に誰かに見られていないと、ついついだらけてしまう人も数多く存在しています。
そのような人は、あえて書斎などの自分だけの場所から飛び出て、家族がいるリビングなどを仕事の場所とするのも一つの方法です。
たとえ、会社に指示されていなくても、同僚同士で互いにWebカメラなどを起動させながら仕事をするのもよいでしょう。
また、機密情報の取り扱いに問題がなければ、カフェやレンタルオフィスなど、外に仕事の場を求めるのも有効な手段です。
締め切り日を他の人に約束する
締め切りがない仕事をしている人は、そのままなんとなくで仕事を進めるのではなく、自分で細かなスケジュールを組み、それを上司などに共有することで、締め切りに追い立てられ、仕事がはかどる可能性があります。
ただし、この方法は強いストレスがともなう可能性もあるため、注意が必要です。
自分を律しようという強い気持ちがある場合にはお勧めの方法となります。
時間ではなくタスクで仕事をする
日本テレワーク協会による「テレワーク」の定義は以下のとおりです。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
本来、テレワークとは、「場所」だけではなく、「時間」にとらわれないことも含む柔軟な働き方なのです。
どうしても怠けてしまう人は、テレワークの本来の意味を尊重し、思い切ってもはやフルタイムで働くことはあきらめてしまうのも一つの方法です。
その日に達成すべき仕事内容、タスクだけは決めておき、それさえ達成すれば他の時間は寝ていてもよいという割り切りをしてしまうのです。
上司も会社も、宣言された成果さえ上げていれば文句は言ってこないはずです。
ただし、この方法には何点か注意点があります。
まず、会社との労働契約が時間制な場合は、露見すると就業規則違反になりますので、業務時間中は常に電話には出られるようにしておくなどの必要があります。
また、半日分さぼってしまう場合は、半日でできるタスクを用意し、それを上司に不自然な成果ではないと納得させる必要があります。基本的に、上司は部下の仕事のことなどほとんど理解していないので、適当に理由をつければ簡単にやりすごせますが、まれにまともな上司もいるので注意が必要です。
この方法は、決めたタスクはきちんとこなすことで、仕事をちゃんとしている気分になれるため、罪悪感も少なく、精神衛生上、健やかに過ごしやすい利点があります。
自分の本当の生産性を知ることが大切
テレワークで仕事がちゃんとできるのも、できないのも、その人の才能であり、実力のうちです。
いくらやろうとしても、その人ができる以上のことはできません。
どのような工夫をしても、テレワークで怠けてしまって、仕事ができないのであれば、その範囲内でできている仕事の量が、その人自身のテレワークにおける生産性なのだと、現実を受け入れることが大切です。
現実を受け入れてはじめて、自分に可能な範囲で働こうと割り切り、意味のない自己嫌悪から抜け出すことも、自分はどうしても出社しなければならない人間なんだという結論に到達することもできます。
慣れない仕事環境で、自分を追い込みすぎる人が少しでも減ることを願ってやみません。