無自覚なハラスメントで失脚する人達 – アンコンシャスバイアスとは

社会情勢の変化にともない、殴ったり、どなったり、性的な誘いをしたり、体を触ったりなど、あからさまなハラスメントは減ってきたのではないでしょうか。

その一方で、現在問題となってきているのは、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)が元となった自覚なきハラスメントです。

今回は、無自覚なままハラスメントの加害者となって人生を棒に振らないために、アンコンシャスバイアスによるハラスメントの具体例と、加害者にならないための対処法についてご紹介します。

アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)とは

アンコンシャスバイアスとは、人が誰しも持っている無意識下の偏見や先入観、思い込み、固定概念のことを意味します。

思想及び良心の自由は、日本国憲法でも保障されており、個人がどのような価値観を持っていようが悪いことはありません。問題となるのは、個人の価値観を表立って主張し、他人に押しつけ、強要する行為です。

中でも、性別や年齢、学歴、結婚歴、子どもの有無、人種などの属性で他人を決めつける行為は、多様性の尊重を阻害し、職場においてハラスメントと認定される危険性を多大にはらんでいます。

寛容な時代はとうに過ぎ去りました。一度の失敗で、今まで積み重ねてきたキャリアを全て棒に振りかねないことを肝に銘じましょう。

日常にひそむハラスメント発言

アンコンシャスバイアスが、どのような問題となる発言、ハラスメント発言につながるのか、具体例を見ていきたいと思います。

「人妻なんだから家事はやんなきゃ」

「家事は女性が行うべきである」という決めつけが存在しています。

女性は家庭にいるべきという考えにつながり、男女が平等に仕事を行い、社会で活躍できるようにするべきという現在の価値観にそぐわない発言となります。

「男なのに料理ができるんだ、すごいね」などという褒め言葉も、逆説的に同様のことを意味するため、避けることをお勧めします。

「子ども産みたいらしいけど、仕事はどうするの」

「子どもを産むと仕事ができなくなる」、「出産による離脱は周りへの迷惑」という決めつけが存在しています。マタハラ(マタニティハラスメント)です。

国や会社が、産前休業、産後休業、育児休業、育児時短などの制度を整えているように、子どもを産むことで一定期間休むことになっても、本人の意思次第で今までどおりの仕事を続けられることを前提とした言動と体制作りが求められます。

会社が制度を用意している以上、その制度を利用することが罪になってはいけませんし、利用を否定するような言動は厳に慎むべきでしょう。制度があるにもかかわらず、制度が利用された途端に人員不足に陥るのであるならば、そのような予見性のない体制を取っている会社や所属長に問題があります。

少子化は国難です。長期的には国内消費も減少していき、会社の経営にも支障が出ることでしょう。自分たちの首を絞める決めつけです。

「男なんだから育児休暇はいらないでしょ」

「育児は女性が行うべきである」という決めつけが存在しています。パタハラ(パタニティハラスメント)です。

女性は家庭にいるべきという考えにつながり、男女が平等に仕事を行い、社会で活躍できるようにするべきという現在の価値観にそぐわない発言となります。

「男なのに子どものめんどうを見るんだ、えらいね」などという褒め言葉も、逆説的に同様のことを意味するため、避けることをお勧めします。親として当たり前のことで、えらくはありません。

「男に女性向け商品の開発はできない」

「男は男のこと、女は女のことしかわからない」という決めつけが存在しています。LGBTの否定にもなります。

LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)を意味します。

見た目が男性であっても、女性の心がわかる人もいますし、逆もいます。「男だから」、「女だから」という考え方自体を捨てることをお勧めします。

「あの年で結婚してないとかホモ(レズ)なんじゃないの」

「一定の年齢で結婚しているべき」、「一定の年齢で結婚していない人は性的マイノリティである」という決めつけが存在しています。

多様な生き方が尊重される時代です。「結婚するべき」、「結婚していないと不幸」、「子どもがいないと不幸」などの価値観を他人に押しつけることは厳に慎むべきです。不幸な人は結婚してても子どもがいても不幸ですし、逆もまた然りです。

また、ホモやレズは差別的な言葉とされています。使うならゲイやレズビアンという言葉を使いましょう。

「あの女の部長、社長の愛人だから出世したらしいよ」

「女性が出世することは普通ではない」、「女性は性的な関係を利用して出世できる」という決めつけが存在しています。セクハラ(セクシュアルハラスメント)です。

「オッサンだから頭が固いんだ」

「年配の男性は柔軟性がない」という決めつけが存在しています。

また、オッサン、オヤジなどの言葉は、侮蔑的なニュアンスが含まれ、職場にはそぐわないでしょう。

「女性上位の職場はしんどい」

「男性上位の職場が前提である」、「女性が上位になると不都合がある」という決めつけが存在しています。

「あいつは○○大学だから仕事ができない」

「学歴と仕事のできるできないは相関している」という決めつけが存在しています。

会社が学歴まで見て、納得して採用した人材である以上、仕事の内容で評価しましょう。

理由なく不当な評価を下す行為は、パワハラ(パワーハラスメント)とされます。

「あいつは理系だしこの仕事が向いてるだろ」

「文系、理系の区分が得意な仕事と相関している」という決めつけが存在しています。

特殊な研究職等でないかぎり、関係ありません。本人の希望や実際の仕事内容で得意不得意を判断してあげましょう。

本来得意なはずの仕事や、今まで担当していた仕事から、正当な理由なく外す行為は、パワハラ(パワーハラスメント)とされます。

自覚なきハラスメントで失敗しないための対処法

自覚なきハラスメントで失敗しないために大切なことは、自分が持っている無意識の偏見を意識化することです。

自身の価値観の何が問題となりえるのかを自覚、意識しておくことで、いざというときに自身の言動を律することができるでしょう。

その際には、今回ご紹介してきた具体例などをご参考にしていただければ幸いです。

しかし、無意識の意識化はなかなかに難しいのが現実です。それが簡単にできれば苦労はしません。

そのようなときは、以下に挙げた類の発言を行わないことで、その大部分を防ぐことができます。

ポイントは、「対象を限定した主語を使った発言をしない」ということです。

  • 性別…「男は○○」「女は○○」「男ってのは○○」「女ってのは○○」など
  • 人種…「○○人は○○だから」「○○人って○○なところあるよね」など
  • 学歴…「○○卒は○○だね」「○○卒だから得意でしょ」など
  • 結婚歴…「その年で未婚は○○」「バツイチは○○」など
  • 子どもの有無…「子どもがいる人は○○」「その年で子どもがいない人は○○」など
  • 世代…「ゆとり世代はやっぱり○○だね」「キミはさとり世代だものね」など
  • 身体的特徴…「左利きはやっぱり○○だね」「○○だと苦労するでしょ」など
  • 血液型…「○○型はやっぱり○○だね」「○○型はこの仕事は向いていない」など
  • 趣味や癖…「○○するやつはダメだな」「○○好きにはろくなやつはいない」など

人は、個性を無視された形でグループ化され、自分自身を決めつけられるのは不快なものです。たとえ、発言した人に悪気がなかったとしても、受け取る側が嫌な気持ちになれば、それはハラスメントとなりかねません。

昭和、平成の時代になんとなくで許されていたことも、今の時代においては簡単に社内処分の対象となるのが実情です。社会人のベテランたちは、時代に応じた感性のアップデートが求められています。